②PIC/S GMP <Part I> 構造設備対応例 比較研究シート
出典 (1) 令和2年3月31日付け 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 事務連絡「PIC/SのGMPガイドラインを活用する際の考え方について」 の一部改正について
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2020年12月24日
Ⅰ |
研究テーマ |
貯蔵区域 ( 搬出搬入口、区分保管、検体採取 ) |
D |
Ⅱ |
PIC/S GMPガイドライン 該当章、項、原文、和訳(1) |
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第3章 建物 及び 設備 |
貯蔵 区域 |
3.20. |
Receiving and dispatch bays should protect materials and products from the weather. Receptions areas should be designed and equipped to allow containers of incoming materials to be cleaned where necessary before storage. |
搬入・搬出口は、天候から原材料及び製品を保護するものであること。入荷原材料の容器を(必要な場合)貯蔵する前に清浄化できるよう受入区域を設計し、装備すること。 |
第3章 建物 及び 設備 |
貯蔵 区域 |
3.21. |
Where quarantine status is ensured by storage in separate areas, these areas must be clearly marked and their access restricted to authorised personnel. Any system replacing the physical quarantine should give equivalent security. |
別区域で貯蔵することで区分保管状態が確保される場合は、それら区域を明確に表示するとともに、立入を認定された人員に制限しなければならない。物理的な区分保管に代わるシステムを用いる場合は、同等のセキュリティを提供するものであること。 |
第3章 建物 及び 設備 |
貯蔵 区域 |
3.22. |
There should normally be a separate sampling area for starting materials. If sampling is performed in the storage area, it should be conducted in such a way as to prevent contamination or cross-contamination. |
通常、出発原料に別の検体採取区域があること。検体採取を貯蔵区域で実施する場合は、汚染及び交叉汚染を防止するように行うこと。 |
Ⅲ |
事例研究課題 |
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・右図のような既存原材料倉庫は,最新のGMP要件に対してギャップが多々ある。ハード、ソフトの両面を見直し、必要な対応をとりたい。
(主なギャップ)
・原材料の荷卸し時に天候にさらされる。
・不合格品の隔離が不十分で誤使用の可能性がる。
・原材料入荷室で検体採取を行っており、汚染及び交叉汚染の可能性がある。
(前提条件)
・原材料を開封して検体採取する環境条件はグレードD相当
・屋外荷卸し場所に屋根(庇)を設置するのは、建築基準法等の制約でできない。 |
Ⅳ |
留意ポイント |
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①原材料が雨で濡れて品質劣化する。
②不合格品を誤使用する。
③検体採取時の暴露により、交叉汚染する。
④異物持ち込みにより、異物混入する。 |
Ⅴ |
構造設備要件への対応例 |
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ケース 1(倉庫の建直し案) |
ケース 2(建築的な改造が中程度の案) |
ケース 3(建築的な改造をしない案) |
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Ⅵ |
各ケースの概要 (「Ⅳ留意ポイント」で挙げた項目のどれに対応しているか番号を記載する) |
ハード対応 |
既存倉庫を撤去し、建直す。自動倉庫および倉庫管理システムを導入し、原材料の区分保管、ステータス管理を行う。
【搬出搬入口】
・トラックヤードに屋根を設ける。①
【区分保管】
・未検査→合格/不合格のステータス変更、区分保管を倉庫管理システムにて行う。(ラベルの張替は行う。)②
【検体採取区域】
・検体採取室は2階に設置し、検体採取対象品は検体採取指図に基づき自動倉庫により検体採取室内の出庫口に出庫されるものとする。③ |
【搬出搬入口】
・荷卸し場所については下記ソフト対応のみ
・前室を設置する。④
【区分保管】
・原材料倉庫内の一部を柵で囲い施錠できるようにし、不合格品の置き場として区分する。②
【検体採取区域】
・検体採取室を設置する。更衣室、パスルームを設置し、必要な環境(温度、湿度、清浄度)を制御し、モニタリングする。② |
【搬出搬入口】
・下記ソフト対応のみ
【区分保管】
・原材料倉庫内の一部を柵で囲い施錠できるようにし、不合格品の置き場として区分する。②
【検体採取区域】
・原材料倉庫内に検体採取用のアイソレータを設置 ③
・アイソレータ内は必要な環境(温度、湿度、清浄度)を制御しモニタリングする。温度、湿度条件は、倉庫全体の空調のアップグレードにより達成する。③ |
ソフト対応 |
【搬出搬入口】
・降雨時も特別な対応は不要
【区分保管】
・未検査品、合格品、不合格品の区分保管は、倉庫管理システムにより行う。②
【検体採取区域】
・出発原料の検体採取は、検体採取室で行う。③ |
【搬出搬入口】
・降雨時に入荷する場合は、トラックからの荷卸し前に荷物を防水シートで覆うことを手順書とし、実施する。①
【区分保管】
・不合格品は、施錠管理された柵内に保管する。②
【検体採取区域】
・出発原料の検体採取は、検体採取室で行う。③ |
【搬出搬入口】
・降雨時に入荷する場合は、トラックからの荷卸し前に荷物を防水シートで覆うことを手順書とし、実施する。①
【区分保管】
・不合格品は、施錠管理された柵内に保管する。②
【検体採取区域】
・出発原料の検体採取は、検体採取用のアイソレータ内で行う。③ |
Ⅶ |
評価 (「Ⅳ留意ポイント」および経済性、実現性、生産性、堅牢性に対する評価を記載する) |
留意ポイントに対する評価 |
・①〜④とも解決している。○ |
・①〜④とも解決している。○ |
・①〜④とも解決している。○ |
経済性 |
・建設コスト大 × |
・中程度の改造コスト △ |
・建築的な改造が少ないため、低コスト ○ |
実現性 |
・建設期間中の倉庫機能の代替え運用が必要となり、生産にも影響するため、かなり困難。× |
・比較的短期間の倉庫機能停止により工事ができるので、生産への影響が少ない。△ |
・工事のよる倉庫機能停止の期間を最短にできる。○ |
生産性 |
・自動化・システム化により、大幅な生産性向上が図れる。○ |
・ギャップは解消できるが、原材料入荷室のスペースが減り、降雨時には作業時間がかかり、生産性が低下する。△ |
・ギャップは解消できるが、原材料の保管スペースが減り、降雨時の荷卸しには作業時間がかかり、生産性が低下する。△ |
堅牢性 |
・ソフト対応では、起こりうるヒューマンエラーも防止でき、堅牢性が高い。○ |
・入庫口と出庫口が一緒であるため、業務が錯綜し、スペースも狭くなるため、ヒューマンエラーを起こしやすい。△ |
・入庫口と出庫口が一緒であるため、業務が錯綜し、ヒューマンエラーを起こしやすい。また、屋外からの塵埃、虫の侵入を防ぐことに関しては作業員注意力のみに依存している。× |