②PIC/S GMP <Part I> 構造設備対応例 比較研究シート
出典 (1) 令和2年3月31日付け 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 事務連絡「PIC/SのGMPガイドラインを活用する際の考え方について」 の一部改正について
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2020年12月24日
Ⅰ |
研究テーマ |
製造区域 (製剤:エアロック) |
A-1 |
Ⅱ |
PIC/S GMPガイドライン 該当章、項、原文、和訳(1) |
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第5章 製造 |
製造に おける 交叉 汚染 の防止 |
5.21. 技術) x |
Appropriate use of air-locks and pressure cascade to confine potential airborne contaminant within a specified area; |
潜在的な浮遊性汚染物質を特定区域内に封じ込めるよう、エアロック及び気圧カスケードを適切に用いる。 |
第3章 建物 及び 設備 |
製造 区域 |
3.14. |
In cases where dust is generated (e.g. during sampling, weighing, mixing and processing operations, packaging of dry products), specific provisions should be taken to avoid cross-contamination and facilitate cleaning. |
塵埃が発生する場合(例えば、サンプリング、秤量、混合及び加工の作業中、乾燥状態の製品の包装時)は、交叉汚染を回避して清浄化を行いやすくする特別な予防措置を講じること。 |
Ⅲ |
事例研究課題 |
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エアロックとは、「2つ以上の扉をもつ閉じられた空間で、2つ以上の部屋の間に置かれる。例えば、清浄度クラスの異なった部屋の間に設置され、それらの部屋に出入りする際の気流を制御することを目的としている」と定義され、エアロックの圧力カスケード形態は以下の3つに分類される。(WHO Technical Report Series, No. 961, Annex 5, 2011)
右図の更衣室の例に対し、交叉汚染/汚染が最少となる室圧/気流方向の設定を検討する。
【前提条件】
① 剤形は固形製剤(高薬理活性)とする。
② 入室と退室のルートを分離する。
③ 非常時に使用する水洗シャワー室を設置する。
④ 製造室は陰圧とする。
⑤ 製造室は清浄度クラス100,000とする。(更衣室の最後の段階はそこから入る区域の「at rest」のGMPクラス分類のグレードと同等とする。) |
Ⅳ |
留意ポイント |
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以下に起因する交叉汚染/汚染に留意する。
①交叉汚染(気流による拡散)
②交叉汚染(人による持ち出し)
③汚染(気流による流入)
④汚染(人による持ち込み) |
Ⅴ |
構造設備要件への対応例 |
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ケース 1(AL2、着衣をバブルALとする) |
ケース 2(AL1、AL2をバブルALとする) |
ケース 3(脱/着衣をバブルALとする) |
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Ⅵ |
各ケースの概要 (「Ⅳ留意ポイント」で挙げた項目のどれに対応しているか番号を記載する) |
ハード対応 |
【気流の制御】
・着衣室を陽圧にすることで、脱/着衣室からのゴミや塵の流入を抑制する。③
・AL1を陰圧にすることで、AL1に高薬理活性物質を封じ込める。①
・AL2を陽圧とすることで、製造室から高薬理活性物質が拡散することを防止し、脱衣室からの塵埃の流入を抑制する。① ③
・脱衣室を陰圧にすることで使用済保護衣に付着した高薬理活性物質を封じ込める。②
・⑤シャワー室を陰圧にすることで、シャワー室に高薬理活性物質を封じ込め、シャワーで失活させる。② |
【気流の制御】
・着衣室から脱/着衣室に気流を確保にすることで、脱/着衣室からのゴミや塵の流入を抑制する。③
・AL1から着衣室に気流を確保することで、着衣室で発生した人からの塵や毛髪等の流入を抑制する。④
・AL1及びAL2を陽圧とすることで、製造室から高薬理活性物質が拡散することを防止し、脱衣室からの塵埃の流入を抑制する。① ③
・脱衣室を陰圧にすることで、使用済保護衣に付着した高薬理活性物質を封じ込める。②
・シャワー室を陰圧にすることで、シャワー室に高薬理活性物質を封じ込め、シャワーで失活させる。② |
【気流の制御】
・脱/着衣室を最陽圧にすることで、一般エリアへの高薬理活性物質の拡散を防止し、一般エリアからのゴミや塵の流入を抑制する。① ③
・着衣室から製造室に気流を確保することで、高薬理活性物質の拡散を防止する。①
・脱衣室から製造室に気流を確保することで、高薬理活性物質の拡散を防止する(使用済保護衣の付着物も含む)。① ②
・使用済保護衣類をPB経由で再使用する場合も、高薬理活性物質の着衣室から脱/着衣室への拡散を妨げる気流方向となっている。②
・シャワー室を陰圧にすることで、シャワー室に高薬理活性物質を封じ込め、シャワーで失活させる。② |
ソフト対応 |
・シューズ以外は床置きしない。④
・更衣手順は上から下への流れで更衣する。④
・更衣の最終段階で更衣姿のミラーチェックを実施する。④
・靴下やシューズを履く動作は、バランスを崩しやすいのでベンチを使用するとよい。④
・作業用の手袋は更衣による汚染を避けるため最後に着用する。④
・ケースから取り出した保護衣は、別の場所に置かず直ちに着用する。④
・保護衣の洗濯バリデーション(洗濯効果と使用回数)を実施する。② ④
・脱いだ保護具は二重袋又はバグアウトポートで搬出する。②
・保護衣はリスクに応じて入室毎交換とする。②
・退室時に更衣室を清掃(洗浄)しなければ、新たな入室を認めないなどの対策も考慮する。② |
・同左 |
・同左 |
Ⅶ |
評価 (「Ⅳ留意ポイント」および経済性、実現性、生産性、堅牢性に対する評価を記載する) |
留意ポイントに対する評価 |
①製造室からの高薬理活性物質の拡散は抑制される。○
②脱衣室から使用済保護衣に付着した高薬理活性物質の持ち出しは抑制される。○
②保護衣をPB経由で再使用する場合は、着衣室から脱/着衣室へ高薬理活性物質が拡散する可能性あり。△
③ごみや塵の製造室への流入は抑制される。○
④着衣室で発生した人からの塵や毛髪はAL1へ流入する可能性がある。△ |
①製造室からの高薬理活性物質の拡散は抑制される。○
②脱衣室から使用済保護衣に付着した高薬理活性物質の持ち出しは抑制される。○
②保護衣をPB経由で再使用する場合は、着衣室から脱/着衣室へ高薬理活性物質が拡散する可能性あり。△
③ごみや塵の製造室への流入は抑制される。○
④着衣室で発生した人からの塵や毛髪のAL1への流入は抑制される。○ |
①製造室からの高薬理活性物質の拡散は抑制される。○
②脱衣室から使用済保護衣に付着した高薬理活性物質の持ち出しは抑制される。○
②保護衣をPB経由で再使用する場合も、着衣室から脱/着衣室への高薬理活性物質の拡散が抑制される。○
③一般エリアからのごみや塵の製造室への流入は抑制される。○
④脱/着衣室や着衣室で発生した人からの塵や毛髪はAL1や製造室へ流入する可能性がある。△ |
経済性 |
・クリーンルームの範囲が狭い分コストが低い。○ |
・クリーンルームの範囲が狭い分コストが低い。○ |
・クリーンルームの範囲が広い分コストが高い。△ |
実現性 |
・気流制御が比較的複雑 △ |
・気流制御が比較的複雑 △ |
・脱/着衣室以降全ての部屋をClass100,000で管理するのは困難。△
・気流制御が比較的容易 ○ |
生産性 |
・クリーンルーム範囲が比較的狭い為、ランニングコスト小 ○ |
・クリーンルーム範囲が比較的狭い為、ランニングコスト小 ○ |
・クリーンルーム範囲が比較的広い為、ランニングコスト中 △ |
堅牢性 |
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