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②PIC/S GMP <Part I> 構造設備対応例 比較研究シート

出典 (1) 令和2年3月31日付け 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 事務連絡「PIC/SのGMPガイドラインを活用する際の考え方について」 の一部改正について

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2020年12月24日

研究テーマ 製造区域 ( 製剤:全体レイアウト ) A-2
PIC/S GMPガイドライン 該当章、項、原文、和訳(1)
第5章
製造
全般
事項
5.9. Operations on different products should not be carried out simultaneously or consecutively in the same room unless there is no risk of mix-up or cross-contamination. 異なる製品についての作業は、混同及び交叉汚染のリスクが皆無でない限り、同じ作業室で同時に又は連続して行ってはならない。
製造に
おける
交叉
汚染
の防止
5.18. Contamination of a starting material or of a product by another material or product should be prevented. This risk of accidental cross-contamination resulting from the uncontrolled release of dust, gases, vapours, aerosols, genetic material or organisms from active substances, other materials (starting or in-process), and products in process, from residues on equipment, and from operators’ clothing should be assessed.
The significance of this risk varies with the nature of the contaminant and that of the product being contaminated. Products in which cross-contamination is likely to be most significant are those administered by injection and those given over a long time. However, contamination of all products poses a risk to patient safety dependent on the nature and extent of contamination.
別の原材料又は製品による、出発原料又は製品の汚染を防止すること。
原薬その他の出発原料、工程中の原材料及び製品、設備上の残留物、並びに作業員の着衣から、塵埃、ガス、蒸気、エアゾール、遺伝物質又は微生物が制御されずに流出することに起因する不慮の交叉汚染のリスクを評価すること。
こうしたリスクの重大性は、汚染物質の性質及び汚染される製品の性質により異なる。交叉汚染が最も重大となりやすい製品は、注射で投与される製品及び長期間にわたって施用される製品である。ただし、当該汚染の性質及び程度によっては、あらゆる製品の汚染が患者の安全性に対するリスクをもたらす。
事例研究課題







・製造エリアの清浄度はクラス100,000
・給気系統にHEPAフィルタは設置されている。
・各工程間の搬送は人手
 多品種の経口固形製剤を製造する施設で、異なる製品を同一区域(作業室は別)で同時に製造する場合においては、各薬剤がある作業室からほかの作業室へ移動(交叉汚染)しないことを保証するための手段を講じなければならない。本シートでは異種製品(A,B)を同一区域内で同時に製造する場合の交叉汚染防止対応例について、新規で計画する場合、既存に対しハード対応によりリスクを低減させる場合、既存のままソフト対応のみでリスクを低減させる場合の3案に分けて提案する。前提条件は以下の通りとする。
【前提条件】
① 既存の製造エリアを想定する。モデルとする製造エリアのレイアウトを右図に示す。
 (注 新規の工場施設設計ではない)
② 剤形は一般固形製剤とする。
③ 異種製品(A,B)を別室ではあるが同一空調(循環)の製造エリアで同時に生産する。
④ A製品、B製品を製造する作業者の更衣室は共用とする。
留意ポイント
以下に起因する交叉汚染,混同に留意する。
① 作業衣や容器、器具等に薬剤が付着することによる持出し
② 開放系作業による室内あるいは室外への拡散
③ 人為的ミスによる混同、交叉汚染
構造設備要件への対応例
ケース 1(新規に計画する場合の例) ケース 2(ハード対応によるリスク低減例) ケース 3(ソフトで対応)
各ケースの概要 (「Ⅳ留意ポイント」で挙げた項目のどれに対応しているか番号を記載する)
ハード対応 ■多品種を生産する工場では、工程ごとに作業室を隣接させる配置とするのが一般的であるが、各製造室からの薬剤持ち出しや拡散をさせず、原料・中間体の搬送・製造ミスをなくす先進の機能、機構を付加する。
(ケース2のハード対応に加え、)
・各生産設備は閉鎖系のものを採用(投入/受け容器との接続含む)① ②
・一方向気流(UDAF)の秤量ブースラミナーフローブース、クリーンブースを設置する。(粉塵封じ込めると同時に作業者を保護する)① ②
・薬剤の暴露する作業、工程については密閉型のグローブBOX等にて封じ込める。① ②
・情報システム導入により工程間を搬送する原料や中間体の搬送、ステータス、製造管理を行い、人為的ミスをなくす。③
■基本レイアウトはそのままとし、間仕切追加と空調設備の改造にて対応する。
・粉立ちの可能性の高い製造室(例えばコーティング室以外の製造室)の入口にALを追加する。②
・AL追加に伴い空調吹き出しを追加
・循環系統にHEPAフィルタを設置する。
・気流方向は、クリーン廊下→AL←製造室
■構造設備に対する変更なし。
ソフト対応 (さらに必要に応じてケース2、3の運用を取り入れる。) ・各製造室入口のALでオーバーガウン、オーバーシューズの着用、あるいは薬剤の除去運用(粘着ローラー、粘着マット、塵埃除去装置、外装拭き取り)の導入。(粉立ちの量(リスク)に応じて採用を検討)①

(さらに必要に応じてケース3の運用を取り入れる。)
・製造室から器具、容器を持ち出す際には、外装をワイプし粉塵の拡散を防止する。①
・製造室から退室する際には、保護衣に付着した粉塵を粘着ローラーや塵埃除去装置により除去する。①
・粉塵が多発する製造室では、シューズカバーを着用し靴裏に付着した粉塵の拡散を防止する。①
・異製品作業室には立ち入らない運用とする。① ③
・AエリアとBエリアの更衣の色を分けて、視覚的に各作業者の作業エリアの意識を高める。① ③
・A製品、B製品同時に洗浄乾燥室を使用しない運用の導入。(時間帯を分ける等)
・室間差圧用マノメータの管理
・定期的HEPAフィルタ(リークテスト等)の管理
・洗浄機の洗浄バリデーションの確立
・製品接触部品、工具類は各製品専用化とする。
・ラクトース等を指標成分とした飛散防止検討を実施し、許容暴露限界以下であることを確認する。
評価 (「Ⅳ留意ポイント」および経済性、実現性、生産性、堅牢性に対する評価を記載する)
留意ポイントに対する評価 ①閉鎖系システム導入による薬剤の持ち出し減少 ○
②閉鎖系システム導入による薬剤の拡散減少 ○
③自動化、システム化による人為的ミスの減少 ○
①除去運用による薬剤lの持ち出し減少 ○
②AL追加および気流制御による薬剤の拡散減少 ○
①除去運用による薬剤lの持ち出し減少 ○
③作業手順の遵守による人為的ミスの減少 ○
経済性 ・設備投資金額:大 × ・設備投資金額:中 ○ ・基本的に設備投資なし ○
実現性 ・新規計画を前提としているので、工事上も生産上も実現性低 × ・ALの設置により、製造室のスペースが圧迫される。△
・空調の吹出口追加、空調バランス調整等による工事期間中、生産停止となる。△
・既存の状態によってはダクトの大幅な盛りかえも必要 △
・工事不要のため、生産停止も不要 ○
生産性 ・ハード対応、およびバリデーションにより、汚染/交叉汚染に対する作業員の運用負荷が低減され、生産性も上がる。○
(各室の入退室の運用負荷は他案と変わらないが、ハード対応による粉立ちの抑制、気流の制御により製造作業の負荷は軽減)
・ハード機器のランニング/メンテナンスコストが掛かる。△
・作業員の運用負荷が大きいため、生産性は低い。△
・ハード導入機器のランニング/メンテナンスコストはケース3案に比べ掛かる。△
・作業者の運用負荷が大きいため、生産性は低い。△
・ハード機器の導入はないが、作業員の負荷が大きい分、ケース1案に比べ、人件費が掛かる可能性あり。△
堅牢性 ・ハード対応、およびバリデーションにより、汚染/交叉汚染に対する作業員の運用負荷が低減され、ヒューマンエラーも少なくなる。(空調的、人為的な交叉汚染リスクは低い。○) ・ハード対応、およびバリデーションにより、汚染/交叉汚染に対する作業員の運用負荷が低減され、ヒューマンエラーも少なくなる。(ケース3案に比べ、空調的リスクが低減される分、○) ・汚染/交叉汚染に対する作業員の運用負荷が高いため、ヒューマンエラーが多くなる可能性あり。(空調的、人為的な交叉汚染リスクが高い。△)