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②PIC/S GMP <Part I> 構造設備対応例 比較研究シート

出典 (1) 令和2年3月31日付け 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 事務連絡「PIC/SのGMPガイドラインを活用する際の考え方について」 の一部改正について

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2020年12月24日

研究テーマ 付随区域 ( 工作室 ) C-2
PIC/S GMPガイドライン 該当章、項、原文、和訳(1)
第3章
建物
及び
設備
付随
区域
3.32. Maintenance workshops should as far as possible be separated from production areas. Whenever parts and tools are stored in the production area, they should be kept in rooms or lockers reserved for that use. 保守管理の作業場は、製造区域から可能な限り別にすること。部品及び工具を製造区域で保存※する場合は、その用途専用の部屋又はロッカー内に保存すること。
第3章
建物
及び
設備
設備 3.35. Repair and maintenance operations should not present any hazard to the quality of the products. 補修及び保守管理の作業は、製品品質に危害をもたらしてはならない。
事例研究課題


上記GMPガイドラインを考慮したうえで、工場全体を新設する際の工作室を設置した場合の設計上及び運用について焦点を当てた提案を行う。工作室の配置例(3種)を右図に示す。以下を前提条件とする
①固形製剤工場とする。
②通常製造区域には包装工程の充填室も含まれるが、ここでは製剤室のみとし充填室は除外とする。
③製造区域の清浄度はグレードD相当とする
④通常緑色区域には品質管理区域等も存在するが、図解構成の都合上、保管区域のみを対象とする。
⑤青色の非管理区域は一般的な非製造エリアとする。
⑥工作室の利用者は製造室の作業者とする。
⑦管理棟の端しから工場棟の端しまでの距離はおよそ200mとする。
留意ポイント
工作室内での工作作業を介して考えられる製品品質への影響を最小限とするために、以下に起因する異物混入などの汚染リスクに留意する。
①更衣、動線、レイアウト
②ヒューマンエラー
③工作作業(切削発塵等)
構造設備要件への対応例
ケース 1(非管理区域に設置の場合) ケース 2(保管/包装区域に設置の場合) ケース 3(製造区域に設置の場合)
各ケースの概要 (「Ⅳ留意ポイント」で挙げた項目のどれに対応しているか番号を記載する)
ハード対応 【非管理区域に工作室を設置する場合のハード対応】
・一般的な工作室仕様(特に制約なし)
【保管区域に工作室を設置する場合のハード対応】
・パーテーション等で間仕切りを設置、天井面までの仕切りなし
・工作台を設置
・工具等の保管※棚

以下の対応をすることで溶接、グラインダー等の発塵する研削作業等を行うことができる。
・局所集塵装置の設置
・オーバーガウンの着用

※第3章 建物及び設備 では、「貯蔵」、「保管」、「保存」の使い分けがあり、3.23.項では部品や工具を「保存」と翻訳されている。しかし、本シートでは一般的に馴染みのある「保管」を使用した。
【製造区域に工作室を設置する場合のハード対応】
・パーテーション等で間仕切りを設置、天井面までの仕切りとする。
・工作台を設置
・工具等の保管※棚
上記対応では溶接、グラインダー等の研削作業は禁止

以下の対応をすることで溶接、グラインダー等の発塵する研削作業等を行うことができる。
・エアロックを介した工作室とする。同時開放しないようインターロックを設ける。
・工作室を陰圧とし空調は全排気とする。室内に還気する場合はHEPAフィルター等の適切なフィルターを介した還気とする。
・工作室内外の更衣を分ける。
・局所集塵装置の設置
ソフト対応 【非管理区域に工作室を設置する場合のソフト対応】
・加工品の持ち出し時は粉塵等の清浄化を行う。
・整理整頓、清浄化管理
【保管/包装区域に工作室を設置する場合のソフト対応】
・発塵するものの持ち込み禁止
・溶接、グラインダー等の研削作業は禁止
・整理整頓、清浄化管理

以下の対応をすることで溶接、グラインダー等の発塵する研削作業等を行うことができる。
・加工品の持ち出し時は粉塵等の清掃をする。
・更衣管理
【製造区域に工作室を設置する場合のソフト対応)
・発塵するものの持ち込み禁止
・溶接、グラインダー等の発塵する研削作業は禁止
・整理整頓、清浄化管理
上記対応では溶接、グラインダー等の研削作業は禁止

以下の対応をすることで溶接、グラインダー等の発塵する研削作業等を行うことができる。
・加工品の持ち出し時は粉塵等の清浄化を行う。
・更衣管理
評価 (「Ⅳ留意ポイント」および経済性、実現性、生産性、堅牢性に対する評価を記載する)
留意ポイントに対する評価 ①、②:製造区域へのアクセスには2度の更衣/エアロックがある事で作業者や加工物等と共に持ち込まれ、汚染となるリスクは非常に低い。
③:2度の更衣/エアロックがある事で切削発塵作業にも規制を受けない。
①、②:製造区域へのアクセスには1度の更衣/エアロックがある事で作業者や加工物等と共に持ち込まれ、汚染となるリスクはケース1よりも高く、ケース3よりも低い。
③:1度の更衣/エアロックがある事で切削発塵作業による汚染リスクはケース1よりも高く、ケース3よりも低い。
①、②:製造区域へのアクセスには更衣/エアロックが無く作業者や加工物等と共に持ち込まれ、汚染させるリスクは非常に高い。
③:更衣/エアロックが無いため切削発塵作業は出来ない。
経済性 ・設備投資金額:小 ○
(製造場所から遠隔で最も汚染リスクが低いことから特別なハード対策の必要性は低くなく投資費用も低減される)
・設備投資金額:中 △
(ケース1と3の中間に位置する事から投資費用も中位となる)
・基本的に設備投資:大 ×
(汚染リスクを低減させるためのエアロックや更衣室などが必要となり投資費用は大きくなる)
実現性 ・工事の実現性:可能 ○(本提案は新設を前提している事から実施可能)
・法規的:可能 ○(本提案は新設を前提している事から実施可能)
・生産上の実現性(稼働停止期間など):可能 ○(本提案は新設を前提している事から実施可能)
・工事の実現性:可能 ○(本提案は新設を前提している事から実施可能)
・法規的:可能 ○(本提案は新設を前提している事から実施可能)
・生産上の実現性(稼働停止期間など):可能 ○(本提案は新設を前提している事から実施可能)
・工事の実現性:可能 ○(本提案は新設を前提している事から実施可能)
・法規的:可能 ○(本提案は新設を前提している事から実施可能)
・生産上の実現性(稼働停止期間など):可能 ○(本提案は新設を前提している事から実施可能)
生産性 ・製造室までの距離が遠いことと、2度の更衣をすることで多くの時間を費やし無駄な時間が増える。× ・ケース1と3の中位 △ ・製造室までの距離が近い事で無駄な時間が増えない。○
堅牢性 ・製造室までの距離が近い事で無駄な時間が増えない。○ ・ケース1と3の中位 △ ・ハード、ソフト対応の要件が多くなるに比例し、リスクも大きくなる。×