Q&A / Frequently Asked Questions
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5.17 医師主導治験とは何ですか?
また通常の治験との差異は何ですか?
A:
人における試験を一般に「臨床試験」といいますが、「くすりの候補」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床試験は、特に「治験」と呼ばれています。このうち、製薬企業等と同様に医師自らが治験を企画・立案し、治験計画届を提出して実施することを医師主導治験といいます。外国で承認されていながら国内未承認、あるいは適応外使用が一般的となっている医薬品や医療機器について医師主導治験を実施することにより、その医薬品や医療機器の薬事承認を取得し、臨床の現場で適切に使えるようにすることが可能となります。
(厚生労働省Web、日本医師会治験促進センターWebより引用)
回答:---
5.16 EU-GMPの「QP(Qualified Person)」とPIC/Sの「AP(Authorized Person)」は名称が異なるが、何か違いがあるのか
A:
EU-GMPにおけるQP(Qualified Person)と、PIC/S GMPにおけるAP(Authorized Person)は、「EU Guidelines to Good Manufacturing Practice Medicinal Products for Human and Veterinary Use ANNEX 13」ならびに「PIC/S GMP GUIDE FOR MEDICINAL PRODUCTS ANNEX 13」の内容を比較する限り、治験薬の規格・品質保証に対する責任者という意味では同義であり、役割と責任範囲に大きな違いはないと考えられます。なお、QPは薬剤師等の「資格要件を満たす人物」でなければならないことに対して、APは「権限を与えられた人物」と定義され、資格自体は要件となっていません。QPについては、本Q&Aコーナーの「レギュレーションに関するもの」の中にも質問と回答が掲載されていますので、ご参考下さい。
回答:---
5.15 GLP試験に使用する製剤を作ろうとしたら、GMPに従って製造するように言われました。GLP試験用製剤の製造にもGMPが適用されるのでしょうか
A:
治験薬GMPを含め、GMPは医薬品の製造と品質管理に適用されます。医薬品の定義は、薬事法の薬事法第2条1項に次のように記載されております。
薬事法第2条1項:この法律で「医薬品とは」次の各号に掲げるものをいう

(1)日本薬局方に収められているもの
(2)人または動物の疾病の診断,治療または予防に使用されることが目的とされるものであって、器具機械(歯科材料、医療 用品及び衛生用品を含む。)でないもの(医薬品部外品を除く。)
(3)人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされているものであって、器具機械でないもの(医薬部外品および化粧品を除く)

こうした定義から考えますと、医薬品を開発するための試験として実施されるGLP試験に使用される製剤に、GMPは適用されないと考える事ができます。しかし、適用されないとしても、GLP試験の結果に基づいて医薬品の開発が進められるわけですから、使用される製剤の品質にはGMPに匹敵するものが求められると考える事ができます。その結果として、GLP試験に対する信頼性が高まると言う事ができます。たとえ動物試験であっても、製造管理・品質をおろそかにした製剤を使用することは出来ないと考えるべきです。
回答:---
5.14 医薬品の毒性を考えるときNOAELとNOELという言葉が出てくのですが、これはどう違うのでしょうか
A:
NOAELとはNo Observed Adverse Effect Level(無毒性量)の略で、毒性試験において毒性学的なすべての有害な影響が認められなかった最高の摂取(曝露)量のことを言います。一方NOELとはNo Observed Effect Level(無作用量)の略で、有害および無害を含めた何らかの影響が認められない最高の摂取(曝露)量のことを言います。例えば、物質の毒性を調べる際、動物実験で物質の投与量を増加させていき、何ら影響が出なかった最大量がNOELとなり、さらに投与量を増やし、有害な影響が出る直前、毒性ではないが影響が出た最大量がNOAELとなり、一般的にNOEL≦NOAELの関係にあります。
回答:国際委員会
5.13 臨床試験の中で、ブリッジング試験という言葉が出てきますが、これは何でしょうか。また、なぜ重要なのでしょうか
A:
近年海外で上市されている有用な医薬品が国内では入手できないとして、ドラッグラグの問題が大きな話題となっています。一方で、ICHの進捗・企業の開発戦略などから新薬のグローバル開発が加速しています。こうした課題におけるKeyとなる問題が臨床試験ということは誰もが認めることではないでしょうか。医薬品開発において臨床試験はCritical Pathとも呼ばれ、お金と時間のかかるプロセスとなっています。この臨床試験は、もちろん人で実施されるわけですから、それを米国で実施しても、我が国で実施しても有効性や安全性は同じといってもよいと考えるのは自然なことだと思います。そうであれば、他国で実施した臨床試験結果を基に我が国で新薬承認申請を行なっても良いということになります。それによりお金も時間も、そしてドラッグラグの問題も解決されることになります。しかし、現実はそう簡単なことではなく民族的な要因により臨床試験の結果に違いが出ることはよく知られているところです。欧米の人に比べ日本人は酒が弱いなどというのも、そうした民族的な要因の一つでしょう。そのため、これまでは日本で承認申請を行う場合には、日本人による臨床試験が求められておりました。これに対して1998年厚生省(当時)は、「外国で実施された医薬品の臨床試験データの取扱いについて」(医薬発第739号)、「外国臨床データを受け入れる際に考慮すべき民族的要因について」(医薬発第672号)を出し、"ICH指針に基づき、科学的に必要と考えられる国内臨床試験データを求め、"できるだけ外国臨床試験データを活用することとする"との方針を出しました。この中で、"外国臨床データの新地域への外挿を可能にするためのブリッジング試験の利用"が記載されています。つまり、外国(異なる民族)で実施された臨床試験のデータと比較して、日本人の臨床試験データにそれほど違いのないことを示すための試験がブリッジング試験ということになります。また、最近ではこのような問題に対して「国際共同治験」が実施されるケースが増えています。
なお、「外国臨床データを受け入れる際に考慮すべき民族的要因について」(医薬発第672号)の中では、次のように記載されています。
"外国臨床試験を新地域に外挿するために新地域で実施される補完的な試験。新地域における有効性、安全性及び用法・用量に関する臨床データ又は薬力学的データを得るために実施される。このような試験が薬物動態に関する付加的な情報を含むことがある。"
回答:国際委員会
5.12 マイクロドーズスタディということを耳にします。これは、どんなことでしょうか。また、なぜ注目されているのでしょうか
A:
近年新薬開発の難度もそれにかかる開発コストも高くなったといわれている。せっかく候補薬物が生まれても、臨床試験段階でドロップアウトとなるケースも多く、Phase 1に入った候補薬物の10個に1つしか上市されないとのデータもある(有限会社 レギュラトリーサイエンスHP資料より)。また、臨床試験に入った薬物が失敗となると、経営にも大きなダメージを与えることとなる。こうした新薬の成功確率を高める可能性のある方法として、マイクロドーズスタディが注目されている。これは、通常Phase 1臨床試験を行う前に、通常のPhase 1臨床試験開始に求められる非臨床試験よりも少ない種類の試験を行った後、単数もしくは複数の候補化合物の中から最適な化合物をスクリーニングする目的で行われる、低投与量(薬効量の1/100以下、もしくは100μg以下など)、単回投与の臨床試験であり、Phase 0試験と呼ばれることもある。各極ともこうした試験に対するガイダンスが出されている。

日本:マイクロドーズ臨床試験実施に関するガイダンス (薬食審査発第0603001号平成20年6月3日)
米国:Guidanace for Industry, Investigators, and Reviewers: Exploratory IND Studies(2006年)
欧州:Position Paper on Non-Clinical Safty Studies to Support Clinical Trials with A Single Microdose (2004年)

マイクロドーズスタディについては、多くの解説や論文が出ており、インターネットから入手できる。その他、杉山雄一、津谷喜一郎(編集)、臨床薬理に基づく医薬品開発戦略、廣川書店(2006年)などが出版されている。詳細は、こうした書籍や各極のガイダンスをお読み頂きたい。
回答:国際委員会
5.11 治験(例えば、第一相臨床試験)に参加したいのですが、どのようにしたら参加できるのでしょうか
A:
臨床試験は3段階に分かれて実施されます。第1相臨床試験は少数の健常者を対象として治験薬を投与し、主として安全性を調べる試験です。第2相臨床試験は少数の患者を対象として、治験薬の有効性と安全性を調べる試験です。第3相臨床試験では多くの患者を対象として、第2相臨床試験の結果をもとに、治験薬の有効性と安全性について統計学的に薬剤として有用性があるかどうかを検証していきます。
ご質問の第1相臨床試験への参加についてですが、製薬会社は一般に受託機関(業者、医療機関)に依頼して第1相臨床試験を行います。これらの専門の受託機関では、治験管理センター等で第1相臨床試験にご協力していただく健常者を募集していますので、参加の意思がある方々は、まず、これらの機関に登録することが必要です。ここに登録された方々の条件が第1相臨床試験にふさわしいと判断されてから、選抜された登録者に試験の目的を十分理解してもらった上で、試験内容に同意していただき、契約を交わしてから正式な被験者となります。
回答:国際委員会
5.10 Phase IVということを聞きますが、具体的には何を調べるものなのでしょうか
A:
医薬品の開発を終了し、承認を得た後に行われる臨床試験で、追加的に薬物相互作用を見る目的や安全性試験を拡大して行う場合、あるいは小児などの特定の集団に対する効果を調べるなどの試験を第 IV 相試験といいます。一般的には、「市販後臨床試験」と呼ばれています。
回答:国際委員会
5.9 昨年(2006年)3月ヨーロッパで治験中に重大な副作用が出て、大きな問題になりましたが、動物で、安全性は確認されていると思いますが、こうしたことはよくあることなのでしょうか
A:
2006年3月12日、TeGenero社が行っていたモノクロナール抗体(TGN1412)のPhase I試験において、参加者に重篤な副作用(臓器不全)が発生し、臨床試験の安全性に対して注目が集まりました。通常、臨床試験を開始する前には、動物を用いた安全性試験を中心とした多くの試験を行い、その結果に基づきヒトでの安全性を十分確保できると想定される条件で試験が行われます。ヒトでの臨床試験を行う前に行うべき安全性試験については、ICHのガイドラインの中で明確な指針が述べられています。しかし、今回事件が起こったモノクロナール抗体など、これまでになく活性の高い、且つ特徴を持った新薬に対する動物による安全性評価には問題があるとの指摘があります。ゲノム薬理学やゲノム遺伝学などの情報を考慮した安全性評価法や臨床試験プロトコールが求められています。従いまして、現在安全性確保のために最善の試験が行われていますが、今後開発されるであろう画期的な新薬については、新たな科学知識に基づく安全性評価が必要になると思われます。

参考:FDA資料“Innovation or Stagnation Challenge and Opportunity on the Critical Path to New Medical Products”(2004年3月)
回答:国際委員会
5.8 ピボタル試験という言葉がありますが、教科書にはPhase1〜3という言葉しか出てきません。ピボタル試験というのは、どんな試験なのでしょうか
A:
ピボタル試験(pivotal trial)は、主試験、中枢的試験などとも呼ばれ、臨床試験などで、後の治療を変えるような重要な中枢となるスタディ と定義することが出来ます。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構のホームページでもピボタル試験を重要な試験と呼んでおります。この考え方からすると、ピボタル試験はPhase 3試験と考えることが出来ます。実際にJ Dent Res 83(Spec Iss C):C6-C14, 2004のなかで、The term pivotal trial or pivotal study usually refers to aPhase III clinical trial. とされています。しかし、定義から考えると必ずしもPhase 3だけと限定することは出来ないといえます。例えば、http://www.adisinsight.com/の中にあります臨床試験の定義を見ますと、ピボタルの条件として次の4項目が挙げられています。(1) プラセボもしくは標準的な治療法が含まれている。(2)(できるならば)二重盲検試験である。(3)ランダマイズされている。(4)適切な大きさ(サンプルサイズ)の試験である。この条件にマッチするものであればPhase 2試験でも、ピボタル試験と呼べるものがあることになります。まさに、その薬物の使われ方、治療方法を決めるような試験をピボタル試験といえるものと考えることが出来ます。
回答:国際委員会
5.7 治験薬の製造において、Phase 1とPhase 2以降では、スケールや管理等で違いがあるといいますが、なぜそうしたことが必要なのでしょうか
A:
Phase 1試験は、「Phase I studies are designed to establish the effects of a new drug in humans. These studies are usually conducted on small populations of healthy humans to specifically determine a drug's toxicity, absorption, distribution and metabolism.」と定義されるように、主に薬物の安全性評価の中心となります。また、試験の規模も小さいものとなります。従いまして、これまで米国では製剤化せずにカプセルに充てんして投与したり、溶液の形で投与されたりしています。
草井らは、開発初期に利用される固形製剤を最終的な製剤と区別してSimple formulationと呼んでいます(PHARM TECH JAPAN 臨時増刊号 製剤開発の将来展望−グローバル時代の製剤開発― 2004 橋田充(編) じほう p51−65(2004))。一方、Phase 2になりますと薬物の効果を評価することに主眼が置かれ、患者が参加したり、試験の規模も大きくなります。治療の効果は、薬そのものの効果だけではなく、製剤の影響を強く受けます。したがって、Phase 2以降の試験の結果は、当然のことながら承認を受けた後の製剤と同等であることが求められます。こうした違いから、Phase 1とPhase 2以降では違いがあると考えることが出来ますが、薬物の溶解性や放出性は当然トキシコキネティクスの結果に影響を与えることが考えられますので、Phase 1製剤といえども、より完成度の高いものが求められてしかるべきではないかと思います。実際、治験を申請する場合、当局から製造方法やスケールなどの観点から製剤の同等性に関する質問を受けることが多々あります。過去ある会合で、某製薬メーカーの研究所の幹部の方が、“現実はともかくとして、私は製剤研究者にPhase 1の製剤が最終製剤だ、といっている”と話されていました。
回答:国際委員会
5.6 遺伝子の違いで薬の効き方が違うといいますが、医薬品の承認申請を行う場合に、こうしたデータはどの程度とられているのでしょうか
A:
遺伝子の違いで薬の効果や副作用の発現に違いがあることが近年次々に明らかになっています。たとえば、米国で昨年(2005年)承認になりましたIsosorbide dinitrate とHydralazine hydrochlorideの配合剤であるBiDil®(錠剤)という医薬品の適用は、“BiDil is indicated for the treatment of heart failure as an adjunct to standard therapy in self-identified black patients to improve survival to hospitalization for heart failure, and ・・・・・・”となっており、当初Phase 3試験の解析結果では有効性を確認できなかったようですが、それをself-identified black patientsに限定して解析しなおしたところ有効性が確認され承認になったといわれています。これも遺伝子が関係したものと思われます。FDAは、本年9月15日に添付文書にPharmacogenomic informationが記載されている医薬品のリストを公表しており、またそうしたデータを取得するためのガイダンスも公表されています。今後遺伝子の違いによる臨床データの取得は、企業にとっても審査当局にとっても重要なものとなることは間違いありません。Phase 1の段階で、安全性の観点から被験者を選択するような指示を受けたことをもあると聞きます。今後テーラーメイド医療に向けてこうしたデータは、ますます重要なものとなるでしょう。

参考資料:
Guidance for Industry Collection of Race and Ethnicity Data in Clinical Trials (FDA)
回答:国際委員会
5.5 Exploratory Investigational New Drug Studiesというのは、通常のINDと同違うのでしょうか
A:
新薬の開発には10〜18年もの長い期間と150億円とも200億円ともいわれる費用が必要となります。開発は、基礎研究から動物による非臨床試験そして臨床試験へと進み、最終的に人間で有効性が確認されたもののみ販売が認められることになります。この臨床試験は、通常第1相試験から第3相試験の3つの段階を経て行われますが、この試験を開始するためには動物試験の結果や製剤に関する各種データを含めた資料を準備して当局に申請し許可を得ることが必要となります。これがINDと呼ばれるものです。第1相試験の段階は、まだ薬になるかどうかわからない初期の段階であり、もし可能性がないようであれば、出来るだけ人への投与をさけるべきであることは当然のことです。また、企業においても出来るだけ早く、少ない試験で開発を継続すべきかどうか判断したいと望んでいます。FDAは、今年(2006年)通常のINDに必要な最小限の資料で治験を行うExploratory IND studyに関するガイダンスを出しました。従来も、IND資料には柔軟性があったものの、要求されている以上の資料が取得されたりしていたことから、次の3つの条件を満たした場合には、ガイダンスに記載されている資料で治験が開始できると、その明確に方針を示しました。

1. Phase1の初期の段階で行う試験であること、
2. 非常に限られた少ないボランティアでおこなうものであること、
3. 診断や治療を意図したものではないこと、つまりスクリーニング試験や微量投与試験であること。

従って、Exploratory Investigational New Drug Studiesは、基本的にINDと変わりはありませんが、申請に必要となる資料や製造関係により柔軟性があると考えるべきものです。具体的な内容は、FDAのガイダンスドキュメント 「Guidance for Industry,Investigators, and Reviewers Exploratory IND Studies 」を参照してください。
回答:国際委員会
5.4 Placebo製剤にも若干の効果が認められるといいますが、どの程度のものなのでしょうか
A:
Placeboによって生ずる反応は、「Placebo反応」と呼ばれています。さて、どの程度の効果があるのかということですが、症状により値は大きく異なっております。 しかし、そうした結果をまとめてみると、だいたい30%前後の効果があるのではないかといえます。Placeboに関する有名な話といえば、1998年に脳循環・代謝改善剤として広く用いられてきた4成分6品目が効果無しとされ薬価基準から削除されたことがあります。これにより、年間数百億円の売上がなくなりましたが、これは臨床試験において対照薬として用いたホパテン酸カルシウムが、Placeboとの間に有意差がないことが判明したことにあります。

(参) 
 稲荷恭三、月刊薬事、41(11)、93−105(1999)
 稲荷恭三、月刊薬事、43(8)、197−206(2001)
回答:国際委員会
5.3 臨床試験の中でPlacebo製剤はどのような役割を持っているのでしょうか
A:
Placeboの意味は、時代とともに少しずつ変化しております。古くは薬そのものであった時代もありますが、稲荷は「特定の活性を有していないものであって、何らかの治療手段としての形態で適用されるもの」と定義しています。 医師と話すだけでも効果があるケースがありますが、こうしたものは介在手段であり、Placeboとは呼びません。 Placeboの訳として「偽薬」が使われることがありますが、臨床試験の説明文では「有効成分を含まないお薬」と説明されるようです。この説明からわかるように、Plcebo製剤は、開発された薬物が本当に効果を有するものであることを客観的に評価するための対照薬として使用されます。特に、精神的な疾患においては、Placbo製剤との比較が重要な課題となります。そのためなにをPlacebo製剤として選択するのかが重要な問題となります。Placebo製剤より有意な効果が無いものは、薬として本当に効果を有するものであるかどうか疑わしいことになります。Placebo製剤がどのくらい効果を有するかについては、次の質問に対する回答を参照してください。

(参)
 稲荷恭三、月刊薬事、41(11)、93−105(1999)
 稲荷恭三、月刊薬事、43(8)、197−206(2001)
回答:国際委員会
5.2 英国をはじめ欧州で治験を始めたいのですが、手続きを説明してください
A:
欧州で治験を行うにあたり法的規制として考慮すべきはThe European Clinical Trial Directive (Directive 2001/20/EC)があり、2001年5月1日付で公開され、2004年5月1日より施行されました。ヒトにおける医薬品を用いたすべての臨床試験に適用されます。DirectiveはEUの立法府により制定される、加盟国に対する指示・命令で、各国の法律として実施されるものです。
基本的にはGCP (Good Clinical Practice)に則り、治験を実施する国の規制当局(Competent Authority)および倫理委員会(Ethics Committee)に必要書類を提出し、臨床試験実施機関による審査を経て治験が開始されます。臨床試験開始のプロセスは、国によって条件が異なるので各国の国内法に留意する必要があります。なお、英国においても本Directiveをふまえた国内法により運用されています。
回答:国際委員会
5.1 米国において治験を開始するためのプロセスについて説明してください。その時、費用はどのくらい必要でしょうか
A:
新薬が動物実験等により目的とする効果(薬効)を有していることが確認され、ICHのガイドライン等で規定されている臨床試験開始前に必要な安全性試験を終了したら、結果を「治験申請(IND)書」にまとめてFDAに提出します。FDAは、通常30日間で審査を終了しますが、その間に「臨床試験保留」の連絡がない限り、30日後には臨床試験を開始できます。一般的には、申請後計画通りに臨床試験を開始出来るようにするため、得られたデータについて事前にFDAと協議する場(pre-meeting)を持ちます。
こうした事前協議からINDにかかる費用は無料です。なお、臨床試験を終え最終的に市販のための新薬申請(NDA)を行い際に問題が生じないように、第2相、第3相試験を開始する前にもFDAと臨床試験の内容等について協議します。
参考:G.S.Dominguez、高橋俊夫(著):FDA:医薬品申請手続きと関連制度、ソフトサイエンス社(1996)
回答:国際委員会
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