■ Q&Aコーナー > レギュレーションに関するもの |
|
4.42 医薬品が実際に使用される時の安定性保証に関する
ガイドライン(In-use stability guideline)は存在しますか? |
|
A: |
In-use guidelineのような単独のガイドラインはありませんが、ICHガイドラインの以下の部分が相当します。
また、ICHガイドラインM4QのCTD品質に関する文書の作成要領に関するガイドラインに記載があるとおり、申請時にはCTDの一部として使用時の安定性を提出する必要があります。
なお、欧州(EMA)から” NOTE FOR GUIDANCE ON IN-USE STABILITY TESTING OF HUMAN MEDICINAL PRODUCTS”が出されていますが、ICHガイドラインと同様に、使用時の安定性の具体的な条件を示したものではありません。
- ICHガイドラインQ1A(R2)
2.2.7. 保存条件
- 一般に、製剤の安定性は、熱安定性、必要であれば、湿度に対する安定性、また溶媒の損失の可能性について試験できる保存条件において評価されるべきである。保存条件及び試験期間は、貯蔵、流通及びそれに続く使用を十分考慮にいれたものとする。
溶解又は希釈後の製剤の安定性についても、調製方法、保存条件並びに溶解又は希釈後の使用期間についての表示のための情報を提供するために必要に応じて実施する。この試験は試験開始時と最終時点において正式な安定性試験の一部として、基準ロットの製剤について溶解又は希釈後に使用期間まで行う。申請前に有効期間までの長期保存試験成績が得られていない場合は、12 カ月又はデータの得られる最終時点で行う。
一般的に、この試験はコミットメントロットについて繰り返す必要はない。
- ICHガイドラインQ8(R2)
2.6 溶解液や使用時の容器/用具との適合性
- 添付文書などに適切で有益な情報を提供するために、製剤と溶解液との配合性(沈殿、安定性など)をここで扱う。この情報では、推奨される温度及び想定される希釈濃度域において、推奨される使用時の有効期間についても示されるべきである。同様に、投与前に製品の混合または希釈を行う場合には(大容量の輸液容器に添加する製品など)、その点について言及
することが必要になる。
- ICHガイドラインM4Q
3.2.P.2.6 溶解液や使用時の容器/用具との適合性(品名、剤型)
- 製剤と溶解液や使用時の容器/用具との適合性(溶液中の原薬の沈殿、注射用容器への吸着、安定性等)について記述し、適切かつ必要な情報が添付文書等に記載できるようにする。
- 3.2.P.8 安定性(品名、剤型)
3.2.P.8.1 安定性のまとめ及び結論(品名、剤型)
- 実施された試験の種類、試験計画及び試験結果の要約を示す。
要約には、例えば、保存条件及び有効期間を含める。
また、適宜、使用時の保存条件及び有効期間に関する結論をまとめる。
|
回答:--- |
|
|
|
|
4.41 コンピュータ化システム適正管理ガイドラインの対象となるのはどのような範囲でしょうか |
|
A: |
コンピュータ化システムが適正ガイドラインの対象となるコンピュータ化システムの例として以下の7つがあげられています。
(1) 医薬品、医薬部外品の市場への出荷の可否の決定に係るシステム及び市場への出荷に係る記録を作成、保存管理するためのシステム。
(2) 製造指図書、製造に関する記録等を作成及び保存管理するためのシステム
(3) 製造工程を制御又は管理するためのシステム及びその管理データを保存管理するためのシステム
(4) 原材料及び製品(製造の中間工程で造られるものを含む。以下同じ。)の保管、出納等の生産を管理するシステム
(5) 品質管理に用いる機器を制御または管理するためのシステム並びに品質試験結果及び管理データを保存管理するためのシステム
(6) 空調、製造用水設備など、製品の品質に重大な影響を及ぼす可能性のある製造支援設備・施設を制御又は管理するためのシステム及びその管理データを保存管理するためのシステム
(7) 文書(手順書類、品質標準書、製品標準書等)を作成、承認、保存管理するためのシステム
このような記載内容から、いわゆる生産管理システム、製造管理システム、機器の制御を行うシーケンサ等が対象とされています。 |
回答:--- |
|
|
|
|
4.40 第16改正日本薬局方が施行となりましたが、製剤通則の中に“非無菌製剤であっても、微生物による汚染や増殖を避け、必要に応じて、微生物限度試験法を適用する”が追記されました。これにより内服固形製剤でも微生物管理が必要になったと理解すべきでしょうか。その場合、管理基準となる数値は公的に発表されているものがあるのでしょうか |
|
A: |
『内服固形製剤でも微生物管理が必要になったと理解すべきでしょうか』という点についてですが、「第十六改正日本薬局方の制定等に伴う医薬品製造販売承認申請等の取扱いについての質疑応答集(Q&A)について」において、以下の記述があります。
Q13:製剤総則(8)「非無菌製剤であっても、微生物による汚染や増殖を避け、必要に応じて、微生物限度試験法<4.05>を適用する。」により、各製剤は、剤形に関わらず、必要に応じて微生物限度試験を設定することとなっているが、非無菌製剤で微生物限度試験が必要な剤形を示していただきたい。
A13:微生物の汚染や増殖は、製造原料の微生物管理、製剤処方(抗菌保存剤の添加の有無、効力等)、製造工程の微生物管理又は容器包装など製造方法の管理によるところが大きく、同一有効成分の同一剤形であっても、微生物の汚染や増殖は製品毎にことなり、一律に考えることは困難である。
とあります。内服固形剤といっても、各製品により使用する原薬、賦形剤、製造機器等が異なりますので個別に製剤特性、製造工程特性等を考慮して判断されるのが良いと思います。
また『管理基準となる数値の公表』についてですが、第十六改正日本薬局方 参考情報「非無菌医薬品の微生物学的品質特性」で、微生物学的品質に対する許容基準値が示されています。しかしあくまでも参考情報ですので、前述の製剤特性、製造工程特性等を考慮し、個別に設定する必要があると思われます。その他についても同参考情報に記載がございますのでご参考下さい。
また国際調和につきましては、「ICHQ4Bガイドラインに基づく事項別付属文書(微生物限度試験法及び非無菌医薬品の微生物学的品質特性)について(薬食審査発0917第2号)平成22年9月17日」によりご確認ください。 |
回答:--- |
|
|
|
|
4.39 ICHで合意に到達したものは、新規医薬品のみを対象としているのでしょうか |
|
A: |
ICHでの検討は新医薬品を対象としている。ガイドライン案が運営委員会の規制当局代表者によって最終的に採択され、日本・米国・EUの3者により合意(調和)された新しいICHガイドラインが完成する。この時点で、ガイドラインはステップ4となる。合意に達したのち、日本・米国・EUにおいて、それぞれの手続きにしたがってガイドラインが実施される(ステップ5)。日本では、厚生労働省医薬食品局から通知される。通知後、適応対象を新医薬品以外にも拡大するのか否かは各規制当局(日本では厚生労働医薬食品局)が判断する。 |
回答:--- |
|
|
|
|
4.38 PIC/S加盟の当局、および業界のメリットはどのようなものでしょうか |
|
A: |
行政、企業、使用者にとってのメリットは以下の通り。
【行政】国際標準の査察手法のトレーニング等による査察能力の向上。製造所査察内容の加盟国の共有化による査察省力化。加盟国から輸入される医薬品の製造販売承認が迅速に行われ、ドラッグラグの解消が期待される。
【企業】海外からの信頼性向上。輸出入が容易(相手国からの査察受入減少など)。査察レベル向上による適切な製造管理/品質管理の実施。
【使用者】国際基準のGMP適用により医薬品使用の安心・安全の確保 |
回答:--- |
|
|
|
|
4.37 PIC/S 厚労省は2012年3月9日にPIC/Sに加盟申請しましたが、加盟に至るまでにどのような段階があるのでしょうか |
|
A: |
申請書を事務局が受領後、以下の手順で行われる。①PIC/S委員会が評価を行う報告担当者(Raportor)を指名する。②申請者が委員会の会合に招聘され、報告担当者と委員会とQ&Aを行う。③PIC/S代表団が手順に従い、訪問評価を実施する(3〜4回の査察に同行)。④代表団が報告書を発行(申請者と委員会に対して)。⑤委員会が加盟是非の判断を下す。 |
回答:--- |
|
|
|
|
4.36 管理戦略の中にminimum approachとenhanced approachが出てきますが、わかりやすく言うと、どう違うのでしょうか |
|
A: |
Minimum approachとEnhanced approachと言う言葉は、"ICH Q8 製剤開発に関するガイドライン"の中に出てくる言葉ですが、その違いは平成22年6月28日の薬食審査発第0628第1号"製剤開発に関するガイドラインの改訂について"の"付録1. 異なる製剤開発手法"の中で説明されています。これを回答者の理解に基づいて説明しますと、minimum approachは、従来型の開発で、例えば工程パラメーターと品質の関係について十分な科学的理解がなくとも、いろいろな試験により品質を保証していこうとする管理戦略と考える事ができます。一方、enhanced approachは、その基礎に工程の科学的な理解があります。その為には、実験計画法や多変量解析などの統計的な手段により、工程に含まれるいろいろな因子と品質特性(特に、重要品質特性(CQA))の関係について十分に検討することが必要になります。ただ、品質特性や工程の因子という場合、数多くあるわけで、それを全て評価検討すると言う事は、実質的に困難と言わざるを得ません。こうした状況を回避するためにはリスクに基づいた取組みが求められる事になります。つまり、リスクに基づいて工程因子と品質特性の関係などを詳細に検討し、十分な工程の科学的理解の上に立って、品質を保証できるシステムを構築するやり方がenhanced approachと言う事ができます。したがって、デザインスペースを設定するとか、PATで工程管理を行うということがenhanced approachと言う事ではなく、検討の結果として採用されるものであると言えます。以上の説明から解かりますように、管理戦略は全ての医薬品について存在する事になります。こうした管理戦略に対する理解を深めるために、2010年10月25日〜27日には"ICH Q8、Q9、Q10ガイドライン運用実務研修会"が開催されています。この資料は、日本製薬工業協会のホームページ( http://www.jpma.or.jp/about/board/ich/explanation/ich100715.html)から入手する事ができますので、参考にしてください。 |
回答:--- |
|
|
|
|
4.35 安定性試験に、加速試験や苛酷試験がありますが、室温条件だけでなく、なぜこのような試験が必要なのでしょうか |
|
A: |
医療用医薬品の新有効性医薬品の安定性試験ガイドライン(H15.6.3 医薬審発0603001)の用語欄には加速試験は「正式な安定性試験の一部として、原薬または製剤の化学的変化又は物理的変化を促進する保存条件を用いて行う試験である。加速試験の成績は、長期保存試験成績とともに、申請する貯蔵方法で長時間保存した場合の化学的影響を評価するのに利用できる。同時に輸送中に起こりうる貯蔵方法からの短期的な逸脱の影響の評価にも利用できる。なお、加速試験の結果が物理的変化の予測に適用できるとは限らない。」とある。また、苛酷試験(原薬)は「原薬の本質的な安定性を明らかにするために行われる試験。苛酷試験は開発段階で行う試験の一部であり、通常、加速試験よりも苛酷な保存条件を用いて行う。」とある。さらに、苛酷試験(製剤)は「製剤について苛酷条件の影響を評価するために行われる試験。光安定性試験(ICHガイドラインQ1B参照)や特定の製剤についての特殊試験(例えば、計量吸入剤、クリーム、エマルジョン、冷蔵の水性液剤)が含まれる。」とある。
輸送の場合、通常、定められた貯法(保管温度)の範囲で輸送できるように輸送形態について特別な配慮をした上で、医薬品とともに温度記録ができるディバイスを設置します。そして、医薬品が輸送され保管されるまでの間の温度をモニタリングし、逸脱がなかったか確認します。保存温度からの逸脱があった場合は、医薬品の安定性試験結果に基づき、その逸脱が品質に及ぼす影響を評価します。必要に応じて追加の安定性試験が必要になる場合もあるでしょう。
凍結が医薬品の品質に影響を及ぼす可能性がある場合、凍結融解(Freeze-Thaw)試験を実施します。凍結融解試験の条件(温度、期間、凍結融解の繰り返し回数など)を規定するGLはないため、医薬品の特性に応じて設定されます。PDA Technical Report No. 39 "Guidance for Temperature-Controlled Medical Products: Maintaining the Quality of Temperature-Sensitive Medical Products through the Transportation Environment"にThermal cycling studyの例として凍結融解の条件が示されています。 |
回答:--- |
|
|
|
|
4.34 ICH Q10ガイドラインなどを読むと、知識管理(Knowledge Management)という言葉が出てきますが、具体的に何をすることが知識管理になるのでしょうか |
|
A: |
ICH Q10には、知識管理と言う言葉が出てきますが、次のように定義されています。
(1)"ICH Q10 医薬品品質システムに関するガイドライン"における定義:
製品・製造プロセス及び構成資材の情報を獲得し、分析し、保管し、及び伝播するための体系的な取組み
(2)インターネット情報より:
組織内部にある個人の知識や、経験からくるノウハウなどを、組織全体で共有して業務の効率化を行い、同時にそれらを有効活用することで業績の向上を目指すこと。
(3)第93回薬事エキスパート研修会(2011年3月1日開催)資料より:
知識を有効に使うための土壌やシステム作り。知識とは、組織経営・企業活動(品質)にとって価値があると認められる全ての知識や情報で、データ、情報、知識、知恵が含まれる。
具体的に何をするかですが、各種実験報告書、製造記録、副作用情報、経営関係資料など、全てのものを管理し、いつでも情報を引き出せるようにする事が重要となります。特に、個人が持っている個人知、暗黙知と呼ばれるナレッジ(知識)を、如何にしてマネジメントし共有できるようにするかが大きな課題となります。ICHのQトリオと呼ばれている3つのガイドラインを実際に実践する場合、こうした知識管理が極めて重要な要素になると考えられています。 |
回答:--- |
|
|
|
|
4.33 無菌製剤と無菌医薬品という言葉が局方に出てきますが、何か違いがあるのでしょうか |
|
A: |
無菌製剤と無菌医薬品の違いを述べる前に、医薬品と製剤について記載したいと思います。医薬品は薬事法の中で明確な定義がありますが、製剤については、日本薬局方(局方)の中にも明確な定義は出てきません。自明の事として使用されています。その上で、製剤とはなにかと問われた場合、例えば、日本大百科全書(小学館)には、"薬物を投与に適した形、性状に調整すること、およびそのように調整された医薬品そのものをいう"と記載されています。この定義からしますと、無菌製剤イコール無菌医薬品と言う事ができます。しかし、手術時などで使用される洗浄液などで製剤と呼ばれるものがあり、こうしたものは医薬品ではありません。この他にも、機能性食品として製造される錠剤なども、製剤と呼ぶことがありますが、同様に医薬品ではありません。こうした観点から質問に対する回答としては、局方で製剤の明確な定義がありませんが、"無菌製剤と無菌医薬品は同じもの"として使用されていると考える事ができます。しかし、 "無菌製剤には医薬品以外の製剤も含まれます"とも言えますので、その場面で区別して使用されているかどうか判断が必要でしょう。 |
回答:--- |
|
|
|
|
4.32 PIC/S SMF(サイトマスターファイル)は、治験申請書や新薬承認申請書と同様に、規制当局提出文書です。GMP管理文書と整合性がある必要はありますが、GMP管理文書そのものではないと認識しております。このような認識で、良いでしょうか? |
|
A: |
PIC/S SMF に対するご理解は正しいと思います。現状では、正式なGMP文書とはなっておりませんが、PMDAによるGMP適合性調査で提出する資料*1の中に括弧付きでサイトマスターファイルが記載されています。もし、SMFが準備されているのであれば、適合性調査の際に"見せてほしい"と要望されるかもしれません。また、CGMPにおいても明確な記載はないと思います。一方、欧州から査察があった場合には、SMFの提出を求められることが多いと思います。 従いまして、我が国でも今後PIC/Sに加盟した場合、GMP文書として管理することが求められるようになるのではないでしょうか。
(参考資料)
*1: http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/info/iyaku/gmp_chosa.html |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.31 米国におけるDMFと日本のマスターファイル(MF)は、どこがどう違うのでしょうか |
|
A: |
最初のDMF(Drug Mater File)登録が米国で行われたのは1947年でした。それから58年を経て、我が国でも改正薬事法の中で原薬等登録原簿(MF)制度が導入されました。 DMF制度やMF制度については、多くの解説や講演会が行われているので(*注1)、発表資料や要旨集などを参照してください。ここでは、そうした資料を基にDMFとMFの違いについて、榊原氏の講演資料(*注2)を基に簡単に紹介します。
米国DMF:
(定義)FDAによる医薬品の承認審査のために、原薬、医薬品添加物、包装材料等のメーカーから、参照情報として登録される文書。(登録は任意)
(意味)製造に関する機密文書/IND・NDA・ANDAの審査時に使用/製造内容が記載通りと約束
(対象)製剤、原薬、医薬品中間体、医薬品添加剤、包装材料など (Type II〜V)
(提出文書)機密文書
(言語)英語
(義務)年次更新、変更報告。申請内容遵守
(審査・承認)形式審査のみで内容の審査はなく、承認もされない
(参照)IND,NDAなどの審査時に参照され、FDA査察で参照される
(提出先)FDA
(提出者)ホルダー(メーカーもしくは代理人)、米国内の支店や代理人から提出
(提出時期)製造方法が完成すればいつでもよい
日本MF:
(定義)規制当局による医薬品の承認審査ために、原薬、中間体、製剤原料、医薬品添加剤、包装材料等の製造業者が、その製造方法、製造管理、品質管理に関するノウハウを含む文書で、製剤の承認申請者に開示することなく登録できる。(登録は任意)
(意味)知的財産の保護/製造販売承認審査時に使用/審査事務の効率化
(対象)原薬、中間体、製剤原料、添加剤(新規添加剤、新プレミックス剤)、医療機器原材料、容器及び包装材料
(提出文書)開示パート、制限パート
(言語)日本語
(義務)軽微変更の届出、変更申請
(審査・承認)承認の対象とはならない。
(参照)医薬品及び医療機器の製造販売申請の審査時に参照される。
(提出先)(独)医薬品医療機器総合機構(制限パート)、承認申請/承認取得者(開示パート)
(提出者)製造業者、外国製造業者は、原簿等国内管理人
(提出時期)承認申請前の適切な時期
(参考資料)
*注1:
- 第8回医薬品品質フォーラムシンポジウム 講演要旨集 (2009)
- 第3回製剤機械技術シンポジウム 講演要旨集 (2002)
- 武居誠之、FDA/EU DMF解説、FHARM TECH JAPAN, 19(1)、73-85(2003)、同19(2)、47-57(2003)
- 薬食審査発第0210004号 原薬等登録原簿の利用に関する指針 (2005.2.10)
- http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/info/mf.html
- http://www.fda.gov/Drugs/DevelopmentApprovalProcess/FormsSubmission Requirements/DrugMasterFilesDMFs/default.htm
*注2:榊原敏之、日揮医薬技術ファーラム2005年GMP講座 講演資料 (2005) |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.30 ISPEが検討しているPQLIというのは、どのようなものなのでしょうか |
|
A: |
PQLIとはProduct Quality Lifecycle Implementationの略で、「製品の全ライフサイクルを通じて、継続的に製品品質を改善するためのアプローチ」としてISPE(国際製薬技術協会)が提唱している新しい概念です。その目的は、製薬企業におけるICHのQトリオ(Q8、Q9、Q10)の実践の支援を行うことにあります。
ISPE国際本部では、3つのテーマ(① Design Space、② Criticality、③ Control Strategy)に関してタスクチームが立ち上がっています。ISPE日本本部でも国際本部の動きに呼応し、レギュラトリー委員会の中にPQLI部会を立ち上げ、事例研究などの活動を行っています。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.29 よくキット製品と言いますが、これはそうでないものとどこが違うのでしょうか |
|
A: |
キット製品とは、医療機関での投薬調製時の負担軽減、細菌汚染・異物混入の防止等を目的として、医薬品と医療機器(特殊容器を含む)又は2以上の医薬品を一つの投与体系として組み合わせた製品のことをいいます。例えば、プレフィルドシリンジ(医薬品を注射筒等の医療機器内にあらかじめ充てんしたもの)やハーフキット(用時溶解型医薬品と他の医薬品を使用時に接続して使用できるようにあらかじめ特定の容器に充てんしたもの)、医薬品を含む吸入ディバイス(医薬品を吸入用の容器内に充てんしたもの)などがあります。
キット製品の薬価は、特別な加算ルールが適用され、薬剤の額にキット製品としての特徴をもたらしている部分の製造販売に要する原材料費を加えることができます。また、有用性の高いキット製品であるとみなされた場合は、さらに加算された額を薬価とすることができます。ただし、有用性の高いキット製品であるとするには、キット製品が次のいずれかの要件を充たす必要があります。
既収載品を患者に投与する場合に比して、
(イ)感染の危険性を軽減すること
(ロ)調剤時の過誤の危険性を軽減すること
(ハ)救急時の過誤の危険を軽減すること
(ニ)治療の質を高めること
なお、申請上は、医薬品と投与システムを別々に考えるのではなく、キット製品は製品全体を医薬品として取り扱われます。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.28 ICH Qトリオガイドラインの話の中で、モジュール3とかモジュール2という言葉が出てきますが、これは何を言っているのでしょうか |
|
A: |
医薬品の承認申請のための国際共通化資料、コモン・テクニカル・ドキュメント(CTD)は5つの部(モジュール)で構成されている。第1部(モジュール1)については各地域(日本、米国、欧州)に特異的な部分である。第2部から第5部(モジュール2からモジュール5まで)は、全ての地域への申請において共通となるよう意図されている。
モジュール2はCTDの概要(サマリー)を意味し、以下の順番で7項目を含むことと規定されている。
- 目次
- 緒言
- 品質に関する概括資料(QOS)
- 非臨床に関する概括資料
- 臨床に関する概括資料
- 非臨床に関する概要分及び概要表
- 臨床概要
品質に関する概括資料(QOS)は、第3部(モジュール3)の資料をその範囲及び構成に即して要約したものである。
モジュール3は品質に関する文書であり、原薬及び製剤について、CTD-品質に関する文書の作成要領に関するガイドライン(M4Q)に記載された様式で添付することが規定されている。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.27 FDAは、Process Validation のドラフトガイダンスを出しましたが、どう変わったのですか |
|
A: |
2008年11月、FDAよりProcess Validation: General Principles and Practices Guidance for Industry (draft guidance)(以下、ドラフトガイダンス)が公表されましたが、現時点でもファイナライズされていません(2010年11月現在)。したがって、プロセスバリデーションに関する現行のFDAのガイドラインは、1987年5月に発効されたGuideline on general principles of process validation(以下、現行ガイドライン)です。
ドラフトガイダンスでは、製品のライフサイクルを通じてバリデーションを適用しており、「プロセスの設計段階から製造段階を通じて、プロセスが一貫した製品品質をもたらすことができるという科学的根拠を確立するためにデータの取得や評価を行なう行為がバリデーションである」というコンセプトが取り入れられています。また、ICH Q8(製剤開発), Q9(品質リスクマネジメント), Q10(品質システム)の考えを反映しています。
現行ガイドラインでは、Prospective validation, Re-validation, Retrospective validationという概念はありましたが、ドラフトガイダンスでは、バリデーションの適用段階とプロセスバリデーションの活動内容をさらに明確化し、製品のライフサイクルに応じてバリデーション活動を段階1〜3に分けています。第一段階はプロセスの設計であり、市販製品を製造するプロセスを明確にする段階です。第二段階はプロセスの適格性評価であり、市販製造が再現できる能力がプロセスにあることを確認します。第三段階では継続的なプロセスの検証の段階であり、プロセスが管理状態に維持されている日常的生産を通じてオンゴーイングな保証を行ないます。特に第一段階のプロセス設計におけるバリデーションは、現行ガイドラインの予備考察(Preliminary Consideration)の内容に一部類似した記述はありますが、ICH Qトリオの概念を取り込んださらに踏み込んだ新しい内容になっています。
例えば、リスク解析ツールや実験計画法の利用を示唆したり、プロセス管理戦略としてのPATについても記述されています。
また、ドラフトガイドラインには分析法の方法論についても記述があり、これは、現行ガイドラインにはありませんでした。
以下に現行ガイドライン及びドラフトガイドラインのリンクを記載します。
現行ガイドライン: http://www.fda.gov/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/ucm124720.htm
ドラフトガイドライン: http://www.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/UCM070336.pdf |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.26 委受託製造におけるQAの役割と製造販売業者のGQPとは、その役割が違うのでしょうか |
|
A: |
製造販売業者の品質管理部門は、GQP省令に則り、医薬品の品質の市場に対する責任を負い、委受託製造における品質管理部門は、GMP省令に則り、製造所で製造する医薬品の品質保証を行なうことになります。
平成14年改正薬事法において承認・許可制度が見直され、製品の市場への責任が明確化されました。即ち、自ら保有する製造所において医薬品を製造する行為と卸販売業者等に販売する行為により構成される従来の製造業から、製造販売行為(製品を出荷・上市する行為)を分離し、製造所の保有を前提としない業の許可体系が構築されました。これにともない、製造業者(製造業の許可を受けた者)はその製造した医薬品を製造販売業者(製造販売業の許可を受けた者)又は製造業者に販売することはできますが、市場に販売することはできず、医薬品の製造販売業者のみが医薬品を市場に販売することができることになりました(図-1)。
そして、製造販売業者の遵守事項として、総括製造販売責任者、品質保証責任者(GQP省令で規定)及び安全管理責任者(GVP省令で規定)についてそれぞれ相互に連携協力することができるように配慮することが求められています(図-2)。
GQP省令は医薬品、医療機器等の品質管理の方法に関する基準を定めたものであり、その遵守は製造販売業の許可要件の一つとなっています。GQP省令では、品質標準書(第5条)や品質管理業務の手順書(第6条)、製造業者等との取決め(第7条)、市場への出荷管理(第9条)、適切な製造・品質管理(第10条)、品質に関する情報及び品質不良等の処理(第11条)、回収処理(第12条)、自己点検(第13条)、教育訓練(第14条)、医薬品の貯蔵等の管理(第15条)、文書及び記録の管理(第16条)などが規定されています。この内、第7条、第9条、第10条、第11条、第12条においては、製造業者等との連携が求められており、特に、第10条においては、製造販売業者によりあらかじめ指定された品質保証部門の者は、製造業者等における製造管理及び品質管理が、GMP省令や製造業者等との取決めに基づき適正かつ円滑に実施されていることを定期的に確認し、その結果に関する記録を作成することが求められています。
一方、製造業者等は、品目の製造販売承認審査の一部としてGMP適合性調査が要件となることから、GMP基準への適合性も必要となります。すなわち、製造業者等はGMP省令を遵守する必要があります。製造業者等は製造管理者の監督の下に製造部門とは独立した品質部門を置かなければなりません。GMP省令では、製造業者等の品質部門は、製品標準書の承認、手順書、製造及び衛生管理に関する記録の確認、検体の採取及び試験検査の実施、参考品の保管、試験検査に関する設備及び器具の点検整備、製品の製造所からの出荷の可否の決定、変更管理の承認、品質等に関する情報及び品質不良等の処理、回収処理、自己点検、教育訓練、文書及び記録の管理などを行うことが定められています。
また、医薬品の市場への出荷においては、製造販売業者によってあらかじめ指定された品質保証部門の者又は当該製品の製造業者が当該品目の製造にかかわる全ての製造所等における製造管理及び品質管理の結果を適正に評価して、ロット毎に市場への出荷の可否の決定を行うことになっています。このように、市場への出荷の可否の決定は、製造販売業者自らが行うか、製造販売業者の責任において国内の製造業者に行わせたり、製造業者と製造販売業業者が連携をとって行うこともできます。ただし、品質保証責任者以外の者が市場への出荷の可否の決定を行なう場合には、その結果等を品質保証責任者に対して文書により適性に報告することになっています。
このように製造販売業者の品質管理部門と製造業者の品質管理部門は相互に連携して医薬品の品質管理を行います。
GQP省令:厚生労働省令第136号「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令」(平成16年9月22日)
GMP省令:厚生労働省令 第179号「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年12月24日) |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.25 FDAのFDA-483という話が出ますが、それは何でしょうか |
|
A: |
FDAは米国で承認申請或いは販売が行われている医薬品(原薬・製剤)の製造場所が国外にある時、そこでの製造がCGMPに従って実施されているかどうかを製造所に出向いて確認する査察を実施しています。(我が国の場合も同様に実施しています。)査察には、新薬などが上市される前の承認前査察と原則2年に1回実施される査察があります。この査察は2000年以降システム査察に変わり、7つのシステム(品質システム、施設および設備機器システム、材料システム、製造システム、包装及び表示システム、試験検査システム)について詳細に調べられます。そのための査察官向けのガイダンス(*注1)も発行されていますので、どのような点にポイントをおいて査察を行うのか、この文書を読めば理解できます。そして、査察が行われた際に、何らかの観察所見(製品や工程に関する有害な状態や連邦食品医薬品化粧品法及び関連法に対する違反など)があった場合に発行されるのが「Form483」と呼ばれているものです。ただし、これは査察官の所見であって、FDAの最終的な意見ではないことが明記されています。異議がある場合には、直接査察官に伝えるか、FDAに連絡して協議を行うことができます。Form483に対する回答などを経て、最終的にFDAがCGMPに対する違反をしていると判断した時に発行されるのがWarning Letterとなります。昨年8月4日に発行されたDocket No. FDA-2009-N-0335では、こうしたForm483に対する回答など含めたFDAの新たなプログラムが発表されていますので参照してください(*注2)。
*注1:Compliance Program Guidance Manual for FDA Staff: Drug Manufacturing Inspections Program 7356.002(http:/www.fda.gov/AboutFDA/Centers Offices/CDER/ucm095598.html)なお、西山昌慶氏が、PHARM TECH JAPN 17(12)(2001)〜18(8)(2002)にわたり、ガイダンスについて詳細な解説記事を書いているので参照して頂きたい。
*注2:製剤機械技術研究会HP http://www.seikiken.or.jp/committee_mess/index.html#iinkai03 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.24 Riskを評価する方法として、どのような方法があるのでしょうか。また、医薬品製造で、よく使用されるのはどのようなものでしょうか |
|
A: |
リスク評価については、これまでも各社で実施されていたと思いますが、"ICH Q9 品質リスクマネジメントに関するガイドライン"が発表されてから、その体系的な実施の重要性が強く認識されるようになりました。特に、"ICH Q8 製剤開発に関するガイドライン"、"ICH Q10 品質システムに関するガイドライン"の実践において、品質リスクマネジメントの活用が必須の要件となっております。リスクマネジメントの出発点となるリスク評価は、その後の開発戦略あるいは管理戦略にとりきわめて重要となります。リスク評価の方法については、PHA(予備危険源分析)、FMEA(欠陥モード影響度解析)、HACCP(ハザード分析と重要点管理)、FTA(故障の木解析)などいろいろな方法がありますが、ICHのHPの"Q9 ブリーフィングパック" *注1の中に各手法についての詳細な解説資料が含まれています。この資料は誰でも入手することができます。また、リスクマネジメントに関して、その手法から取り組み方法にわたるまで解説した成書 *注2も出版されていますので、ぜひ一度参照して下さい。
また、これまで品質リスクマネジメントについては、いろいろな講演会や大会で取り上げられており、活発な議論が行われています(*注3)。そうした発表において、医薬品製造現場の例としてよく取り上げられているのがFMEAやPHAですが、食品関係の製造現場ではHACCPが採用されていると聞きます。実際にリスク評価を行う場合には、各手法の特徴を十分理解した上で実施することが求められます。なお、リスク評価を行う際の問題点などについては、山本らの座談会の記事なども参考になります(*注4)。
*注1: http://www.pmda.go.jp/ich/quality%20risk%20management.htm
*注2:キャロル・デセイン/シャーメイン・サットン(著)榊原敏之(監訳)松村美也(訳)、医療・医薬品業界のためのリスクマネジメント入門、薬事日報社、2006
*注3:
(1)第8回製剤機械技術・第7回医薬品品質フォーラム 合同シンポジウム 2007年12月6日 (2)製剤機械技術研究会 第17回講演会 2008年8月1日
(3)ICH Q8,Q9,Q10ガイドライン 運用実務研修会、2010年10月25日〜27日など
*注4:座談会、PHARM TECH JAPAN 23(6)、7-19(2007) |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.23 ICH Qトリオに出てくるQTPP(Quality Target Product Profile:標的(或いは目標)製品品質プロファイル)とは、どのようなものをいうのでしょうか |
|
A: |
ICHのガイドライン(ICH Q8(R2))の中では、"製剤の安全性及び有効性を考慮した場合に要求される品質を保証するために達成されるべき、製剤の期待される品質特性の要約"とされています。これだけでは非常に解かりにくいのですが、品質に関する概括試料 P2モックアップ(記載例)2009年3月、平成20年度厚生労働科学研究費補助金 "医薬品製造開発・承認審査の迅速かつ効率的なプロセス構築に関する研究" *注1の中では、サクラ錠に対するQTPPとして、次のように記載されています。
力価及び剤型 |
有効成分30mgを含有する即放性錠剤 |
有効期間を通して安全性及び有効性を担保するための規格項目設定 |
定量、製剤均一性(含量均一性)及び溶出性 |
性状及び硬度 |
輸送及び取扱いに際して耐久性のある錠剤 |
外観 |
患者が服薬遵守できる大きさのフィルムコート錠とする。30mg錠の総質量が約100mgで直径を約6mmとする。 |
しかし、この内容はあくまでサクラ錠に対する例示であり、ケースにより異なっています。各社でICH Qトリオガイドラインの内容を十分理解した上で設定することが求められます。
*注: http://www.nihs.go.jp/drug/DrugDiv-J.html
(参考資料)
- 川合、高山、宮嶋、製剤機械技術研究会会誌、19(3)、20-30、2010
- ICH Q8,Q9,Q10ガイドライン運用実務研修会 要旨集 2010年10月25日〜27日
|
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.22 OD錠とは、どのような錠剤を意味するのでしょうか |
|
A: |
OD錠とは、口腔内崩壊錠(Orally Disintegrating Tablet)の略であり、日本薬学会の薬学用語解説によると、以下のようになる。
口腔内崩壊錠
錠剤の取り扱いやすさを残したまま、錠剤が口腔内で唾液または少量の水で崩壊することにより飲み込みやすくした製剤。錠剤は、投与量が正確であり、簡便性の面からも内服薬の中で最も好まれ汎用される剤形ではあるが、嚥下困難な高齢者や小児患者には服用しにくく、水分摂取が制限されている場合には不適切な場合もある。このような患者にも容易に服用できる錠剤として開発されたが、突発的な症状のとき、水がなくても服用できることから、OTC薬にも応用されている。
医薬品機構のホームページにも口腔内崩壊錠に関して以下の記載がある。
口腔内崩壊錠は日本では医療用医薬品として1997年に最初に発売され、現在では一般用医薬品を含め10種類を超える成分が販売されています。口腔内崩壊錠は、従来の水で飲む錠剤と生物学的同等性試験で同等性が確認されていますので、効果的に差はありません。また、水で飲んだ時と水なしで飲んだときの生物学的同等性にも差がないことが確認されていますので、ほかのくすりと一緒に水で飲んでも差し支えありません。服用時の注意として、寝たままの状態のときは水なしで飲まないようにすること、口腔内崩壊錠の中には吸水性が高いものがあるので、そのような錠剤は飲む直前に包装から取り出すようにすることなどです。尚、口腔内崩壊錠は16局より錠剤の項目に記載される予定である。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.21 ICH Qトリオガイドラインの中にある管理戦略とは、具体的にどのようなことを意味しているのでしょうか |
|
A: |
管理戦略(Control Strategy)は、ICH Q10の用語の定義で規定されています。すなわち、「最新の製品及び製造工程の理解から導かれる、製造プロセスの稼働性能及び製品品質を保証する計画された管理の一式。管理は、原薬及び製剤の原材料及び構成資材に関連するパラメータ及び特性、設備及び装置の運転条件、工程管理、完成品規格及び関連するモニタリング並びに管理の方法及び頻度を含み得る。」とされています。
平成20年厚生労働科学研究「医薬品製造開発・承認審査の迅速かつ効率的なプロセス構築に関する研究 重要工程におけるデザインスペースの設定及びControl StrategyとしてのReal Time Release等の研究」の研究成果であるモックアップ(サクラ錠)において具体的な管理戦略が随所に例示されています。
サクラ錠では、品質特性の管理戦略が適用されています。例えば、原薬粒子径、滑沢剤比表面積、滑沢剤混合時間及び打錠圧といった品質特性が溶出性に及ぼす影響を多次元解析により評価し、混合工程、滑沢剤混合工程及び打錠工程が溶出性に与える影響は低く、原薬粒子径が溶出性に最も影響を及ぼすことが分かったことから、原薬の粒子径を含むデザインスペースを構築し、原薬粒子径を一定の範囲で管理するという管理戦略です。
また、別の例として、混合工程における含量均一性の2つの管理戦略についても例示されています。混合工程の含量均一性に及ぼす影響の検討において、インプット変数(原薬粒子径)及び混合工程の工程パラメータ(混合時間、回転速度及び混合機)を検討し、含量均一性に対する影響を明らかにした上で、混合時間、混合速度、装置、スケール及び原薬粒子径を管理対象とした管理戦略と、インラインNIRを用いて混合均一性を確認し終点を管理することで、最終製剤が含量均一性試験に適合することを確認する管理戦略の2つを検討し、後者の管理戦略を採択しています。
これらの例の様に、原材料、中間製品にかかわる品質特性や設備、工程パラメータあるいはこれらの組み合わせから得られた知見にもとづき、製品品質を保証するための管理対象や項目を特定し、どの時点でどのような方法を使用して、どのような範囲に制御していくかという考え方が、管理戦略と言えます。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.20 海外で承認されている薬が、なかなか日本では承認されないと聞きます。それはなぜですか?どのくらい海外と時差があるのでしょうか |
|
A: |
企業が新薬をどこで最初に開発するかは、各企業の戦略と密接に関係しており、例えば患者数、売り上げ予測、医薬品の価格、企業の拠点があるかどうか、申請上の問題など、いろいろなことが検討された上で決定されます。しかし、米国が医薬品売上の50%程度を占めておりますので、患者数も含め、最初に米国で開発されるケースが多いのが実情です。こうした新薬を日本で発売するためには、既に米国で承認が得られているとしても、新たな臨床試験が必要となり、また申請も厚生労働省に行うことが求められ、さらに審査に1〜2年は必要となります。こうした新薬開発については、国際調和(ICH)が図られていることは周知の通りですが、それでも企業の経済的な問題等も含め、すべての新薬が世界同時開発とはなっていません。こうしたドラッグラグの問題に対しては、政府も積極的に取り組んでおり、検討委員会を組織し議論され、「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会報告書」( http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/07/dl/s0730-10a.pdf)が作成されています。では、ドラックラグはどの位かといいますと、医薬産業政策研究所の資料("創薬の場"としての競争力強化に向けて-製薬産業の現状と課題- 2005年11月)中に4年程度との報告があります。この資料には、この他にもこれに関係するいろいろな情報が含まれていますので、ぜひ一度お読みください。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.19 最近「軽微変更」と、従来の「一変」とは、どう違うのでしょうか |
|
A: |
製造販売承認では、承認事項の一部を変更しようとするときは、原則として、変更内容について承認を受けなければならないとされています。しかし改正薬事法の施行に伴い、変更内容が軽微なものについては届出でよいこととなりました。(薬事法第14条第9項、第10項)
新医薬品の新規承認申請時に、申請者は製造方法欄の各事項について、変更時の「一変」対象事項と「軽微変更」対象事項を予め設定し、規制当局に申請します。規制当局は、その妥当性を審査段階で判断し、各事項について、「一変」対象事項と「軽微変更」対象事項を考慮した上で承認します。
申請者が医薬品等の製造方法の変更を行う際は、品質への影響の大きさにかかわらず、「一変」または「軽微変更」のいずれの変更においても、GMPに基づき実施した変更管理により、バリデーション、変更管理等が適切に行われていることが前提であり、品質に対する影響の程度に基づき、変更の可否が判断されます。
「一変」対象に該当するか否かは、予め設定された事項に照らし、申請者自らにより判断されるものですが、変更に際して実施する評価プロトコールの妥当性や、得られた試験結果から品質に明らかに影響がないとした判断の適否、等について審査当局へ相談を行うことができます。
「軽微変更」届出が提出された場合には、規制当局はGMP査察時に申請者が保管しているバリデーションデータ等を基に、変更が適切であったことを確認します。本来「軽微変更」では行うべきでない製造工程の変更等に関して、軽微変更届出を行ったことがGMP調査の際に判明した場合にあっては、当該軽微変更届出は無効となり、薬事法違反を問われる可能性があります。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.18 Design Spaceに関する講演などで、多変量解析とか、DOEという言葉が出てきますが、これをわかりやすく説明してもらえませんか |
|
A: |
多変量解析とは、多くの変数から成るデータを解析する手法(方法)のことです。多変量解析では、変数データ同士の関係(相関)に注目し、相関情報をうまく利用し相関の情報を「相関係数」として数値で表します。多変量解析法には、最も良く用いられる「重回帰分析」、「主成分分析(PCA)」のほかに、「部分最小二乗分析(PLS)」、「主成分回帰分析(PCR)」、「正準相関分析」、「判別分析」、「クラスター分析」などがあり、目的に応じて、適切な手法を選択します。一般的に、ある物性を多くの入力変数を用いて推定したい場合には、PLSもしくは重回帰分析を適用するケースが多く、あるサンプル群間の特徴を抽出し、サンプルを識別したい場合には、PCAを適用するケースが多いです。近年、コンピューターの処理能力の向上により、広く用いられるようになりました。
DOEとはDesign of Experiments(実験計画法)のことです。実験計画法とは、効率の良い実験方法を設計し、得られた結果を統計的に解析する方法です。実験パラメーター(因子)とその水準が沢山ある場合には全ての実験を行うことは到底不可能であるため、実験計画法を活用して少ない実験から、主効果や交互作用を明らかにします。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.17 Design Spaceと医薬品の規格とは、どう違うのですか |
|
A: |
デザインスペース(設計領域)は、処方及び製造プロセスに於て検討し設定するものであり、製造プロセスにおいては品質を保証できる入力変数およびプロセスパラメータの多次元的な組み合わせ及び相互作用であらわされます。承認後はそのDesign Spaceの範囲内で作業する限り変更とはみなされません。したがって、医薬品の規格とは異なるものです。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.16 国際調和が進んでいますが、局方の調和についてはどのような状況でしょうか |
|
A: |
|
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.15 本年度から登録販売者制度がスタートすると聞きましたが、これは具体的にはどのような制度なのでしょうか |
|
A: |
2009年施行の改正薬事法により、一般用医薬品は、主に副作用の程度により3種類に分類され、スイッチOTC薬などを含む第一類を除き、第二類(大半の一般用医薬品)、第三類の医薬品は、2009年から導入される登録販売者でも販売が可能となりました。登録販売者は、国家資格であり、登録販売者となるためには試験に合格することが求められます。受験資格は、(1) 高等学校卒業程度かつ、1年間の実務経験のある者、(2) 4年間の実務経験のある者、(3) 6年制薬学部又は旧4年制薬学部等の卒業者、(4) 上記の者と同等以上の知識経験があると都道府県知事が認めた者とされています。試験は、マークシート方式の筆記試験で120問のうち7割の正答率が求められます。
(1) |
第一類医薬品 |
再審査期間(4年)に1年を加えた期間中の医薬品、製造販売後調査期間(3年)に1年を加えた期間中の医薬品、毒劇薬の殺虫剤、そして告示により指定された医薬品(スイッチOTCなど)。 |
(2) |
第二類医薬品 |
第一類医薬品以外で、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品で、今日大半を占める一般用医薬品はこの第二類に分類される。 |
(3) |
第三類医薬品 |
第一類、第二類医薬品以外の医薬品。 |
|
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.14 米国では、Critical Path Initiativeのという提案が行われたと聞きますが、これはどのような方針のことでしょうか |
|
A: |
|
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.13 現在は薬事法の改正により医薬品の申請資料に製剤設計の根拠、製造法の設定根拠と重要工程の管理方法について、詳細な記載が要求されるようになったことを知りました。いつ、どのような背景からこのような記載が求められるようになったか教えていただけないでしょうか |
|
A: |
平成14年の薬事法改正では、旧薬事法に規定されている品目毎の製造業の許可等が廃止され、また、政令で定める医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器については、製品の製造管理及び品質管理の方法に関する基準に対する適合性を承認時及び政令で定める期間を経過する前に確認することとされました。これに伴い、平成16年7月9日付け薬食発第0709004号医薬食品局長通知「薬事法及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律等の施行について」に基づいて、医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売承認書に記載する事項として、製造所に関する情報及びこれまで原薬の承認事項とされてきた原薬の性状、製造方法、規格及び試験方法、貯法、有効期間等の品質に関する事項について、新たに製剤の承認申請書に記載する事項とされました。
また、今回の改正では、製造方法及び工程管理も承認事項とされ、軽微変更は届出とされ、プロセス・パラメータ、操作条件等、詳細な記載が求められております。原薬及び製剤の製造方法の記載では、一変事項と軽微届対象事項との区別、目標値/設定値の設定等、新たな考え方による記載が必要となっています。以上の背景より、製造販売承認申請書における製造方法に係る記載方法及び承認審査上の手続きについて、薬食審査発第0210001号「改正薬事法に基づく医薬品等の製造販売承認申請書記載事項に関する指針について」が平成17年2月10日付けで出され、承認申請書は従来と比べはるかに詳しく記載することが必要になってきました。特に製剤では、承認書への具体的な製造方法の記載をこれまで行わなかったことから、全く異なる対応が必要となっています。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.12 製機研では、FDAのガイダンスにいろいろコメントを提出していますが、こうした意見は本当に反映されるのでしょうか |
|
A: |
製剤機械技術研究会では、これまでPATに関するガイダンス、無菌製剤に関するガイダンス、Phase 1治験薬に関するガイダンス、ICH Q8に関するガイダンスなどに対してFDAにコメントを提出しています。こうしたコメントは、当研究会以外からも多く提出されており、そのため具体的に提出したコメントのどれが実際のガイダンスに反映されているか明確な確認は出来ておりません。しかし、FDAは、提出されたコメントについては検討するとはっきりと述べており、コメントが提出された後にガイダンスが修正されたものもあることから、十分ガイダンスを理解したうえでの適切なコメントであれば反映されるものと考えてよいと思います。
FDAのガイダンスではありませんが、過去にFDAも関与しISPEが発行した「技術移管ガイド」に対して、ワーキンググループを編成しコメントを提出しましたが、いくつかのコメントが実際にガイダンスに反映されました。
重要なことは、最終的なガイダンスにいろいろ意見を言う受身ではなく、せっかく機会が与えられているのですから、意見があったら相手がFDAであろうと積極的に主張し議論する態度を持つことであると考えています。国際化と叫ばれている中、こうした活動を通じて、我々自身が一歩踏み出し、世界の医薬品産業に貢献したいものです。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.11 QOSというのは何の略で、何のことでしょうか |
|
A: |
QOSは、Quality Overall Summaryの頭文字をとったもので、コモンテクニカルドキュメント(CTD)における第2部の品質分野の資料を意味しています。日本語では“品質概括資料”と呼ばれ、これは製造承認申請時に提出する“概要書”に相当するものです。日本ではこの資料に基づいて審査が行われますが、米国では審査の対象となっておらず、国際間でその取り扱いが異なる状況となっています。なお、QOSは通常40ページ程度で、以下の項目が含まれます。
2.3.S 原薬(一般情報、製造、特性、原薬の管理、標準品又は標準物質、安定性)
2.3.P 製剤(製剤及び処方、製剤開発の経緯、製造、添加剤の管理、製剤の管理、標準品又は標準物質、容器及び施栓系、安定性、
2.3.A その他
2.3.R 各極の要求資料
参考資料:
- CTDの解釈と運用−新薬承認審査の最新情報と3極の動向−、(株)情報機構 2002年
- CTD品質に関する概括資料−第2部(モジュール2)原薬・製剤のモックアップ(記載例)−、大阪医薬品協会 2002年
|
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.10 米国における後発医薬品の審査はQbRで行われるといいますが、これについてわかりやすく説明してください |
|
A: |
米国では2002年8月に発表された“Pharmaceutical cGMPS for the 21st Century −A Risk‐Based Approach−”に伴い、新薬の品質に係わる審査のあり方が大きく変わろうとしています。後発医薬品についても、これにあわせて審査のあり方が変わると発表されています。QbRはQuestion Based Reviewの頭文字をとったもので、“後発医薬品の品質を科学とリスクに基づいて評価するための枠組み“を意味しています。審査資料は「製剤開発報告書」・「品質概括報告書(QOS)」であり、この中には「重要工程」や「製剤設計・製造に係わるリスク」等が含まれ、これに基づいて審査が行われます。この新たな審査方法は、2007年に完全実施すると発表されています。QbRになると、Reviewの視点が、例えば次のように変わります。
現状: 薬物Xの結晶多形についてコメントし、出来たら適切な試験法を含めなさい。
QbR: 薬物のどんな特性が製品の性能に影響を与えますか。
参考: 2005年10月に開催されたAAPS Workshop におけるGary Buehler氏の講演資料
※製剤機械技術研究会事務局に連絡することで入手可能。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.9 CTDの話はよく聞きますが、各国で審査の対象となる資料が異なると聞きます。具体的に、米国やヨーロッパの国と日本では、どこが違うのでしょうか |
|
A: |
医薬品の国際化に伴い、各国において共通の資料(同一資料)で医薬製造承認申請ができるようにとの観点からGlobal Dossierということが過っていわれましたが、結局各国間の制度上のいろいろな違いを解決することが出来ず、最終的には申請資料に含まれる内容の項目・内容および資料の様式を共通化するCTD(Common Technical Document)が、2000年11月のICH-5(San Diego)で合意されました。しかしながら、例えば品質分野だけを見たとき、日本ではモジュール2(QOS)が審査の対象となるのに対し、米国ではモジュール3(日本では、添付資料として扱われる)が審査の対象となるなど異なっております。また、欧州は、この中間的な立場にあるといえます。この他にも、具体的にどこまで記載するかなど、まだ多くの問題が残されておりますが、CTDの合意によりこれまでよりも米国等での申請がやりやすくなったのではないでしょうか。いろいろな問題については、今後もICH等の場でいろいろ討議されることとなるでしょう。
参考資料: CTDの解釈と運用−新薬承認審査の最新情報と3極の動向−(株)情報機構 2002年 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.8 前臨床試験と非臨床試験という言葉がありますが、どう違うのでしょうか |
|
A: |
一般的に、前臨床試験とは、臨床試験に入る前に行う試験をいいます。一方、非臨床試験とは、臨床試験ではない試験をさします。従って、前臨床試験は、非臨床試験に含まれることになります。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.7 中国で新薬の製造承認を取りたいと思います。そのプロセスを教えてください |
|
A: |
薬品登録管理弁法(2005年5月改訂、JPMA)によりますと
新薬申請とは、まだ中国で上市販売されていない薬品の登録申請を指します。また輸入申請とは国外で生産された薬品を中国で上市・販売するための登録申請を指します。以下に当該新薬が既に原産国(この場合日本とします)で製造販売承認を取得しているケースを対象として中国における製造承認取得のプロセスについてご説明いたします。
このケースでは新薬申請者は国外の申請者となりますので、輸入薬品の申請手順と要求に応じて申請を行うことになります。本法第9条の規定により輸入薬品登録申請時には下記資料を提出しなければなりません。
- 厚生労働省からの薬品登録・製造・販売・輸出及び製造工場のGMP適合
証明書と公正証書
- 海外製薬メーカーの権限を委ねる中国代理店に対する申請代理の証明書
中国代理工商許可証のコピー、海外製薬メーカーの中国出先機関の登録証コピー
- 医薬品特許書
- 厚生労働省で許可された医薬品添付文書
- 医薬品品質規格と試験方法
- 医薬品に関する各研究結果のまとめ
- 医薬品の処方・製造工程・薬理・毒性及び臨床研究などの詳細資料
- 医薬品及び包装の見本及びその他の資料
なお、申請資料に関する詳細は本規定の添付(輸入薬品申請資料細則)を参照ください。
本ケースのように原産地にて製造販売承認を取得している時には、まず製剤(市販品3ロット)を輸入し、国家検定を行い、輸入小分け承認をとります。このうちの1ロットを用い臨床試験(第1相試験、第3相試験;100症例x2)を実施、試験終了後に臨床レポートを当局に提出し承認を待ちます。
輸入小分け承認を取得したこれらのサンプルは承認取得後、販売することが出来ます。この間に原産地で新薬承認を取得していれば原産地より原薬の輸入ができるので、これを用いて中国で3ロット製剤化し、安定性試験(加速試験、6ヶ月)を実施し国家検定で合格すれば、この内の1ロットを使用して自社品と中国国産品―中国での同種・同効品との比較臨床試験を行います。
なお日中同時開発を推進する場合には、もしも日本での開発が失敗すると中国への原薬の輸出は不可能となり、中国で改めて原薬の製造承認を取得せねばならないので大変リスクが高いものとなります。
中国政府は国外で既に承認を取得している新薬については、取り急ぎ小分け輸入承認を取得し、より速やかに臨床試験に入ることには理解を示すものの原産地(本ケースの場合では日本)で製造した原薬を輸入し、中国国内に製剤工場を建設し中国国内で製剤化することを期待、推奨しているようです。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.6 SUPAC等の考え方は、BCS(Biopharmaceutical classification system)が基本になっていると聞きますが、BCSとは何ですか |
|
A: |
新薬の開発において、薬物の溶解性・膜透過性は開発の成否にかかわる重要な特性であり、特に製剤開発を担当するものにとって、こうした問題を抱えた化合物の開発は開発のスピードにも密接にかかわっております。FDAでは、ガイダンスの中で薬物のこうした特性を4つのクラス(Class I: High Permeability, High Solubility、Class II:High Permeability, Low Solubility、Class III:Low Permeability, High Solubility、Class IV:Low Permeability, Low Solubility)に分類しています。ここでHigh Solubilityとは、pH1〜7.5の範囲において、最大の投与量の薬物が250mLの溶液に溶ける場合を意味し、High Permeabilityとは薬物を静注した時と比較し、或はマスバランスから投与量の90%以上が吸収される場合を意味します。また、RAPIDLY DISSOLVINGとは、USP I もしくはII法、900mL以下の緩衝液において30分以内に表示薬物量の85%以上が溶解することを意味します。そして、この分類に基づいて生物学的同等性試験等の方法を検討することが求められています。例えば、Class I の薬物では、in vivoによる同等性試験が免除されます。一方、Class IVの薬物では、in vivoによる同等性が必要となります。SUPAC等で、処方変更或は製造装置等の変更時の生物学的同等性の検証に対する考え方にも、こうした薬物の特性が考慮され求められる試験が決められております。詳細は、FDAのガイダンスを参照してください。
(参)
1) Guidance for industry: Waiver of in vivo bioavilability and bioequivalence studies for immediate-release solid oral dosage forms based on a biopharmaceutics classification system
2) R.K. Verbeeck, H.E.Junginger, K.K.Midha, V.P.Shah, D.M.Barenda, J.Pharm.Sci., 94(7), 1389-1395(2005) |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.5 FDAによる査察はシステム査察といわれますが、これについて説明してください。従来のやり方とは、どう違うのでしょうか |
|
A: |
FDAは、2002年より対象となる品目に対するGMPへの適合性を評価することから、製造所のGMPに対する適合性を評価するシステム査察に変更しました。しかしながら、これは手法が変わるもので、査察の内容が変わるというわけではありません。このシステム査察では、6つのシステム(品質システム、施設・設備システム、原材料システム、生産システム、包装・表示システム、試験室システム)について、フル査察では品質システムを含む4つ以上のシステム、簡略査察では品質システムを含む2つ以上のシステムについて査察が行われます。 システム査察では、従来の対象となる品目のみについて評価するわけではなく、製造所のGMP適合性ということになりますので、査察の結果次第ではそこで製造される全ての製品に影響が及ぶことになります。通常2年に一回査察が実施されます。簡略査察は、フル査察で問題がなかった場合に、次の査察では簡略査察となるものです。FDAの査察に関して、いろいろな所で解説されておりますので参照してください。
(参)
1) 石井勇司、PHARMSTAGE Vol.5 No.6 2005
2) 冨田貞良、PDA Journal of GMP and Validation in Japan, 6(2), 62-67(2004)
3) 西山昌慶、Pharm Tech Japan,17(13)、2057-2070(2001) |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.4 米国におけるオーファンドラッグの定義を教えてください。その定義は、国内と同じですか |
|
A: |
オーファンドラッグとは、希少疾病用の医薬品のことを意味しますが、その定義は各国で異なっております。米国では、オーファンドラッグ法(1983年)の中で申請時に対象疾患患者が20万人以下(約0.1%)或は企業が利益を見込めない場合で、他の治療法が承認されていない疾患(例えば、ALS等)といった条件が挙げられています。
こうした疾患は、6000種類にも及び総患者は全米で約2500万人とも言われます。オーファンドラッグの指定を受けますと専売特権や研究における税制上の優遇処置等の利点が与えられます。ちなみに、日本では3つの条件を満たす必要があります。
1)日本において患者数が5万人以下の重篤な疾病、
2)医療上特に必要性が高いもの(代替医薬品が無い或は既存の医薬品と比較し著しい有効性・安全性が期待されること)、
3)開発の可能性が高いこと。
英国やフランスでは、こうした法律はありませんが、開発をサポートするシステムが整備されています。(参考:高田他、医薬品研究、35(5)235−249(2004)、医薬品研究、36(1)13−31(2005)) |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.3 FDAの組織について説明してください。特に、製薬に関係のある部署について、その役割を含め説明してください |
|
A: |
FDAはアメリカ政府、Department of Health and Human Services省に属し、現在の長官(代行)はLester Crawford博士で、副長官でOperation担当はJanet Woodcock博士が勤め、彼女はISPEはじめ学会、セミナーで医薬品の品質係わるFDAの考え方を示している。
FDAの組織チャートは (図−1 PDFファイル/17KB)に示してある。我々に密接に関連する部署は下記であろう。
Office of Regulatory Affairs
Center for Drug Evaluation and Research
Center for Biologics Evaluation and Research
Office of Regulatory Affairs(ORA) (図−2 PDFファイル/9KB)
ORAはFDAの現地査察をリードする部署で、地域Operationsオフィスは、Northeast、Central、Southeast、Southwest、Pacificの5つの地域に分かれている。また、法的執行、犯罪捜査などのオフィスがある。
本オフィスの陣容は消費者安全担当官および査察官が年間22,000件のアメリカ国内、国外での査察、約41,000件の医薬品サンプルを検査する科学者、公衆衛生を増進したり、緊急事態発生時の対応ためのスペシャリストなどがいる。
Center for Drug Evaluation and Research (CDER) (図−3 PDFファイル/12KB)
CDERはアメリカ国民に提供される医薬品(一部バイオ関連、ワクチン、医療用具、放射線医薬、動物薬などを除く)の安全性、有効性を確保するための機関である。CDERでの業務は新薬の開発・審査、後発品の審査、OTCの審査、承認後医薬品の審査、オーファン医薬品、IT、環境評価、ICHなども担当している。
Center for Biologics Evaluation and Research (CBER) (図−4 PDFファイル/9KB)
CBERはCDERと同様の組織であるが、担当するものが、血液製剤、血液関連製品、ワクチン、遺伝子治療薬、細胞組織、さらに血液、血液成分、細胞などを集めたり、テスト、製造および管理するための機器の安全性、有効性を確保するための機関である。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.2 DMFのメリット・デメリットについて説明してください |
|
A: |
ドラッグマスタファイルは原薬製造関連情報(材料、製造、化工、包装、保管、品質)に関わるデータをあらかじめ審査当局に登録しておく制度で、当局の審査及び査察の参考資料とされます。DMFは欧米では既に運用されている制度で、日本おいても2005年4月から販売承認制度への切り替わりに伴って新たに導入されます。
DMFは公開されませんから原薬メーカー等のノウハウ/知財を保護することができます。また複数の供給先業者が承認申請を行なう場合に、各申請者にDMFを参照する旨の文を記載することで、登録したDMFを使用できることから、開発の効率化が図れます。DMFに大きなデメリットはありませんが、申請書類が複数存在するため申請後の維持管理には注意を払う必要があります。 |
回答:国際委員会 |
|
|
|
|
4.1 欧州で治験を行う際に話しに出るQP(Qualified Person)について、役割等について説明してください |
|
A: |
欧州では2001年に臨床試験に関する新たな指令(The European Clinical Trials Directive2001/20/EC)が発行され、2004年5月から実施されております。この中で、治験薬(Investigational Medical Products:IMPs)は欧州GMPに準拠して製造され、第13条において“少なくとも1人のQualified Person:QP が製造に関して全責任をもつこと”が記載されています。さらに、QPの要件としてDirective 75/319/EECの第21条(実際には第23条)に適合するものであることが記載されています(Directive 2001/83/EC 第49条にも同様の記載がある)。
QPは、当局・製造業者・輸入業者との中立的な立場にあり、製造に係わる施設の査察から製品の規格・品質保証にわたる全ての事項に対して責任をもっています。従って、QPが承認しない限り、治験薬としては認められません。(参考:秦 武久、PHARM TECH JAPAN, 20(8), 95-101(2004)) |
回答:国際委員会 |
|
|
|