1.ケミカルハザードについて
一般的には「化学物質の毒性によってもたらされる人体に対する危険性・有害性」と定義されます。日本においては医薬品製造設備に関してケミカルハザードの公的な管理基準はありません。 海外においては対象とするケミカルハザード物質は企業自身が決定することとされています。レベルとレベルに対応する設備基準を含めた自主管理基準を定めている企業もあります。要は取り扱い物質に関して、安全面から作業者と環境に及ぼす影響を評価し、安全を確保出来るレベルに封じ込める施設を構築し維持することが企業責任として求められています。米国においては事業者、労働者、安全衛生に携わるスタッフや専門家たちが危険な作業や有害物質などのリスクを低減し安全衛生管理が行えるように情報を簡潔にまとめた公的ガイド「NIOSH ALERT」が国立労働衛生研究所(National Institute for OccupationalSafety and Health)より出ています。
2.バイオハザードについて
一般的には「微生物または微生物由来の毒性によってもたらされる、人体あるいは生物に対する危険性と障害」と定義されます。
医薬品製造に関するバイオハザードの管理基準は次の2つに分けられます。
(1)遺伝子組換え生物等を利用した医薬品製造設備に関する基準
国際会議において“生物多様性条約「バイオセーフテイーに関する
カルタヘナ議定書」“が平成12年1月に採択されました。
日本国内においては必要な国内措置を定めた「遺伝子組換え生物等の
使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」が平成15
6月18日に公布され、翌平成16年2月19日から施行されています。同法
に基づき次の通達が厚生労働省から公布されています。
1.「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の
確保に関する法律の施行について」
(薬食発第0219008号平成16年2月19日)
2.「遺伝子組換え微生物の使用等による医薬品製造における
拡散防止措置等について」
(薬食発第029011号平成16年2月19日)
なお対象設備の査察は独立行政法人医薬品医療機器総合機構が行いま
す。米国おいてはカルタヘナ議定書を批准しておりませんがFDAの
「Biotechnology inspectionguide reference material and training aid」に
医薬品製造設備におけるレベル分類とレベルに対応する設備基準が
示されています。
(2)病原体取り扱いに関する基準
日本国内においては国立感染症研究所病原体等安全管理規定にレベル
分類とレベルに対応する設備基準が示されています。米国においては米国
疾病対策予防センターより
「Biosafety in Microbiological and Biomedical Laboratories (BMBL) 4th
Edition」にレベル分類とレベルに対応する設備基準が示されています。