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■ 第34回大会にあたっての実行委員長のご挨拶 製剤One Team ー製品開発へ向けたOnly Value・Open Innovationー |
丹羽 敏幸 名城大学 |
モノローグ 〜右肩上がりの成長期を過ぎた医薬品業界。新医薬品、特に高血圧・高脂血症治療薬などの慢性疾患治療薬を代表とする患者数が膨大かつ高薬価の大型新薬(ブロックバスター)の開発数は2000年代初頭をピークに減少し始め、先発医薬品企業での製剤開発は勢いを落としている。その後しばらくは、“2010年・2015年問題”と称される大型新薬の特許満了にともない、後発医薬品企業が下支えした(ジェネリック側から見れば“2010年・2015年チャンス”)時期があったものの、このところは特許切れさえ減った“玉切れ”停滞期に直面している。最近の新薬開発状況に目を転じれば、悪性腫瘍治療の抗体薬や感染症予防でブレークしたmRNAワクチンといったバイオ医薬品が牽引し、活況期は継続しているようにも見うけられる。しかし、日本の製薬会社が創出したバイオ医薬品として、オプジーボ(ニボルマブ)やレケンビ(レカネマブ)が真っ先に挙げられるものの、それに続く新薬の創出には外資系企業から大きく後れを取っている。加えて、新薬開発が合成低分子医薬品から高分子バイオ医薬品へとパラダイムシフトし、2010年過ぎまで活況だった固形製剤の開発や製造に従事する研究者・技術者やメーカー(装置・添加剤)担当者は、時代の趨勢を肌で感じられているのではないだろうか?コロナ禍を過ぎた前年度の本大会でさえ、参加者(有料)を100人集めるのに一苦労するという現実に驚かされている‥‥〜
こうした状況のなか、第34回大会の実行委員長を拝命し、今一度、製剤ムーブメントが巻き起こせないだろうかと思案しました。製剤に携わる各方面(製薬・製剤機械・プラント・添加剤・規制当局・アカデミア)からの参加者が集い、それぞれのKnowledge・Technology・Skillを結集し、異業種・異分野間での革新的産物(オンリーバリュー)を創造する場(オープン・イノベーション)を提供することを企図しました。自身を振り返れば、20歳そこそこの“弱き白ウサギ”だったころから製剤界に身を置き、製薬産業とアカデミアの両視点から製剤研究と製品開発の醍醐味を体験しつつ、たくさんの引き出しと人的ネットワークを形成させていただきました。
製剤界への恩返しという熱き想いを胸に抱き、第34回大会を盛況に行うことを目標に掲げ、実行委員の招集や講演者の選出、並びに大会運営を企画しました。「製剤One Team」を大会テーマに掲げ、組織という垣根(縄張り)を越えて製品づくりへの熱い志(こころざし)を共有する出逢いの場となることを願っています。参加者が200人の大台に復活することを数値目標とし、製薬を支えるメーカー側による展示ブース・パネルディスカッションを数年ぶりに復活させました。また本会の会員ではない添加剤サプライヤーにも積極的に参加してもらえるよう声掛けしています。特別講演では、1997年に劇場映画も大ヒットしたミリオンセラー小説 “パラサイト・イブ” の著者である瀬名秀明氏(博士(薬学)、薬剤師)をはじめ、医薬品の品質や安定供給、並びに物流(ロジスティクス)に関する第一人者など、各界の著名人を招待しています。また、医薬品に限らず食品や化粧品分野からの製品設計に関する演題についてもラインナップしました。
最後に、講演会と交流会の会場を名古屋の中心である栄(さかえ)と錦(にしき)に構えました。バラエティに富んだ講演に加え、名古屋の地を存分に楽しんでいただけるよう企画しましたので、本学会に関連する様々な分野から多数のご参加を頂きますようお願い致します。どえりゃー賑やかな尾張なごやをめちゃんこ楽しんでちょうでー。Let’s get together in Nagoya and enjoy “SEIZAI”! |
実行委員(50音順) |
近藤 啓 |
静岡県立大学 |
小川 法子 |
金城学院大学 |
亀ヶ谷 直幸 |
日本曹達(株) |
小林 剛 |
日揮(株) |
佐伯 勇 |
東和薬品(株) |
田内 郁男 |
フロイント産業(株) |
髙部 浩行 |
科研製薬(株) |
瀧野 康博 |
ホソカワミクロン(株) |
中谷 匡利 |
沢井製薬(株) |
柳楽 慎介 |
エーザイ(株) |
原田 努 |
昭和大学 |
松井 航 |
(株)パウレック |
山田 理恵 |
日本新薬(株) |
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