研究・技術の解説[4] |
乾式コーティング法による難溶性薬物の溶解性改善 |
薗田 良一 |
要旨 難溶性薬物を乾式粉砕により微粒子化することは、比表面積を増大させて溶解性を向上させる手法として有用である。しかし、粉砕された微粒子は付着凝集性が高まり、粉砕直後の一次粒子の分散状態を保持することが困難である。この問題を解決するため、薬物と添加剤を混合粉砕する方法や粒子複合化法が報告されているが、装置内壁への付着による回収率の低下等、工業化に向けた課題は多い。本稿では、核粒子を用いた乾式粒子複合化法による量産化可能な難溶性薬物の溶解性改善手法について報告する。遊星ボールミルを用いてデンプン粒子表面に薬物粒子(フルルビプロフェン)を微粒子化させて被覆する乾式コーティングを行うとともに、水溶性高分子又は流動化剤を添加した三成分系処方で複合化することにより薬物の溶出速度を向上させ、さらには、装置からの回収も高収率であり、量産化可能な難溶性薬物の溶解性改善手法を確立した。 |