取り巻く話題 [1]
医薬品・化粧品用添加剤サンジェロースの特性とその応用
島本 敏夫・岸  広三・浦松 俊治・秋山 真一・植村 俊信
要旨
 医薬品・化粧品用添加剤である疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース;
Hydroxypropylmethylcellulose stearoxy ether (Sangelose;SGL) はヒドロキシプロピルメチルセルロースにステアリル基を導入した高分子である。1) SGLは、ステアリル基の疎水性相互作用による高い増粘性と強いチキソトロピー性を示すことが大きな特徴であり、様々な処方設計を可能にしている。今回、SGLゲルのずり応力と粘度低下の関係を調べた。その結果、ホモミキサーと高せん断乳化法として知られているマイクロフルイダイザーによるゲルの粘度低下は、比較に用いたカルボキシビニルポリマー(CVP)より少ないことがわかった。これは、乳化処方を設計する上で優れた特性であると考えられる。また、SGLゲルは非イオン性であるため良好な耐塩性を示し、イオン性薬物含有処方を設計する際に有用な特性である。
 2) 応用例として、医薬品ではゲル製剤、末期乳がんにおけるメトロニダゾール院内製剤、界面活性剤フリーのエマルション製剤(乳剤)の検討例について紹介し、医薬部外品・化粧品では手指消毒剤、スキンケア、ヘアケアへの応用例について紹介した。